2023年度の太陽光発電導入量は大幅減、今後はPPAモデルが成長の主軸に太陽光

矢野経済研究所が国内の太陽光発電市場(新規・セカンダリー)の導入見通しに関する調査結果を発表。

» 2024年09月10日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 矢野経済研究所は2024年8月、国内の太陽光発電市場(新規・セカンダリー)の導入見通しに関する調査結果を発表した。2023年度単年度の太陽光発電導入容量は5040MW(ACベース)で、再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度による太陽光発電設備の導入容量が縮小したことで、前年度5823MWからの大幅な減少を見込んでいる。

国内の太陽光発電導入容量(事業形態別)推移・予測 出典:矢野経済研究所

 FIT制度により導入された太陽光発電設備の中でも事業用の減少は著しく、売電価格の低下や2017年度の入札制度開始により認定容量が落ち込んだことで、2021年度以降、導入容量の縮小が続いている。特に低圧区分においては、2020年度より自家消費型の地域活用要件が設定され、発電電力量の少なくとも30%の自家消費などが求められるようになったことで、認定容量の減少幅が大きくなっている。

 一方で増加しているのが、FIT制度に依存しないPPAモデルでの導入だ。オンサイトPPAは脱炭素化の潮流や電気代高騰を背景に導入が進み、2023年度の非住宅分野におけるオンサイトPPAの導入容量は870MWで、全体の17.3%まで拡大すると推計している。また、オフサイトPPAについても、環境価値を重視する需要家による導入が進展したことで、2023年度の非住宅分野の導入量は全体の8.8%に相当する445MWを見込んでいる。

 国内における2030年度単年度の太陽光発電導入容量は、6049MW(ACベース)と推計しだ。上述のようにオンサイトPPAやオフサイトPPAなどのFIT制度に依存しない事業形態での導入が増加することで、導入容量は2030年度にかけて徐々に拡大していく見通しだ。特に1案件あたりの導入規模が大きくなる傾向のあるオフサイトPPAの導入容量は増加ペースが早く、2026年度には単年度でオンサイトPPAの導入容量を越える見込みとしている。

 一方で、FIT制度による太陽光発電設備導入容量の減少が続くことで、2030年度のFITおよびFIP制度を活用した太陽光発電(住宅用及び事業用)導入容量は850MWと、全体の14.1%にまで縮小すると予測している。

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