電気の品質指標の一つである「周波数」。昨今、中部から九州にかけての中西エリアの周波数品質の悪化傾向が続いている。広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」ではその要因や対策状況が報告された。
電気の「品質」を表すものとして、周波数、電圧及び停電については一定の目標値があり、各エリアの実績が毎年取りまとめられている。近年、変動性再エネ電源の増加と火力電源の減少に伴い、中西エリア(中部・北陸・関西・中国・四国・九州)では、周波数品質の悪化傾向が生じている。
広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、中西エリアを代表して中部電力パワーグリッド社から、中西エリアにおける周波数品質低下の要因や、周波数品質向上に向けた取り組みが報告された。
電力系統の周波数は、交流連系するエリアでは原則同じとなるため、国内では表1のように4つの同期エリアが存在する。一般送配電事業者各社は、各エリアの平常時の周波数調整目標を表1のように設定しており、中西エリアでは調整目標範囲(±0.2Hz)に加え、±0.1Hz以内滞在率目標値を95%以上と設定している。
電力広域的運営推進機関は、電気の供給信頼度の状況を把握するため、「電気の質に関する報告書」を毎年発行しており、2019年度以降、全てのエリアにおいて調整目標範囲の滞在率は100%となっている。また中西エリアでは、±0.1Hz以内滞在率目標95%以上も継続的に達成している。
中西エリアの周波数品質を月別に見ると、春や秋の軽負荷期には±0.2Hz目標を逸脱する割合が少し高まるほか(図1左)、±0.1Hz滞在率については、4月は95%目標をかろうじて維持する状態となっている(図1右)。中西エリアの±0.1Hz滞在率は、2019年度以前は98%以上を維持してきたが、2020年度以降、徐々に低下してきたことが報告されている。
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