一般送配電事業者は、時々刻々と変化する需要と供給力に対して、調整力を活用して需給を一致させることにより、周波数品質を維持している。
そこで中部電力PG等では、一般送配電事業者による調整力の制御方法(調整要素)と、需要や自然変動電源の変動や市場取引による連系線潮流の変動といった外部影響(変動要素)に分け、周波数に影響を与える要因の分析を行った。
調整力側の要因としては、残余需要予測誤差の増大や、火力等の調整電源の稼働量(稼働比率)の減少に伴うLFC容量や変化速度の減少、GF容量の減少などがある。
中西エリアでは、再エネ等の非調整電源の増加に伴い、火力等の調整電源は減少傾向である。調整電源の減少と±0.1Hz滞在率の低下には相関性が見られ、特に、軽負荷期において顕著である。なお、東エリア(東北・東京)においても、再エネ電源の拡大に伴い、滞在率の低下傾向が見られる。
中西エリアと東エリアを比べると、太陽光・風力の出力比率(月間平均)にそれほど大きな違いはないが、中西エリアでは原子力の稼働により、火力等の調整電源が少ないことが一因と考えられる。
中西エリアの軽負荷期(4〜5月)を1日の時間帯別に見ると、6〜9時と15〜16時に±0.1Hz滞在率が低くなる傾向があり、特に晴天の休日には顕著となっている。
朝の6時以降は需要が急増するほか、太陽光発電の出力増加、揚水ポンプの入切、地域間連系線の潮流変化など様々な事象が生じており、起動台数の少ない火力による調整が難しく、周波数滞在率が悪化していると推定されている。
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