加速する再エネの大量導入、将来の電力系統の運用容量に与える影響と課題第3回「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」(3/4 ページ)

» 2024年10月17日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

慣性力の低下に伴う周波数維持への影響

 非同期(インバータ)電源である太陽光等の変動性再エネが大量に連系される場合、同期連系系統の慣性力が低下し、電源脱落時等の周波数変化率(RoCoF)が増加、つまり周波数低下スピードが速くなるといった問題が生じる。

 現在、系統連系規定では、電力品質を確保するために事故時運転継続要件(FRT要件:Fault Ride Through)が定められており、RoCoFが2.0Hz/s以内では運転の継続が求められている。

 RoCoFが2Hz/sを超える場合には、周波数低下時に再エネ等も一斉に解列(停止)するため、周波数はさらに大きく低下してしまう。周波数の低下により、さらに多くの発電機が連鎖的に解列され、最終的には系統崩壊(ブラックアウト)に至る可能性もある。なお、先述の同期化力の低下は、更なるRoCoFの増加を招くと試算されている。

図6.慣性力低下によるRoCoFの増加 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

 広域機関の試算によると、2030年時点のRoCoFはいずれのエリアもFRT要件2Hz/sの範囲内であるものの、2050年時点では中西エリアにおいて2Hz/sを超えると試算されているため、長期的なテーマとして検討を行う予定としている。

図7.2030年時点のRoCoF算定結果 出典:調整力及び需給バランス評価等委員会

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