国内で導入が加速する再生可能エネルギー電源。電力広域機関の「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」では2030年頃を想定し、再エネ大量導入が電力系統の運用に与える影響や今後の課題について整理を行った。
変動性再エネ電源の導入量は今後も増加が見込まれ、2033年度には太陽光・風力発電の設備量は120GW(2023年度の約1.5倍)へと拡大する見通しである。
電力の安定供給確保を前提として、大量の変動性再エネ電源(VRE)を電力系統に受け入れるには、地域間連系線等を活用した広域的な調整力ΔkWの調達・運用が重要と考えられている。
ところが、VREの増加それ自体が、地域間連系線・地内送電線の運用容量等に影響を及ぼすことが指摘されており、技術的な課題やその対策についてあらかじめ検討することが求められている。そこで、電力広域機関の「将来の運用容量等の在り方に関する作業会」では、まずは中期的将来(2030年頃)を対象として、VRE大量導入により顕在化し得る課題について整理を行った。
地域間連系線や地内送電線の「運用容量」は、「熱容量」、「同期安定性」、「電圧安定性」、「周波数維持」の4つの制約要因を考慮して設定されている(※関連記事:「再エネ大量導入の時代、地域間連系線・地内送電線の運用容量はどうなるのか?」を参照)。
一般的に、電力システムの供給信頼度は「アデカシー」と「セキュリティ」の2つの側面から評価されており、変動性再エネ電源(VRE)の大量導入は様々な要因が複雑に絡み合い、系統の運用容量に影響を与えることとなる。
図2は、VREの大量導入が系統運用容量に与える代表的な要因・経路を描いたものであり、図2の右端には、VREだけでなく、需要側設備(負荷)のインバーター化による影響も描かれている。
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