PV EXPO 太陽光発電展では、太陽光発電協会をはじめ、エネテクメンテナンスサービス、イノベーター他が盗難対策セミナーに登壇した。
エネテクメンテナンスサービス代表取締役社長の野口貴司氏は、「窃盗の手口は年々高度化しており、盗難対策はイタチごっこの状況にある」とした上で、まずは「物理的にアクセスを困難にするなど、泥棒にとって“盗難が面倒になるような対策を講じること”が重要」とする。
また、コロガシ配管(地上配管)ではなく、地下埋設配管であってもハンドホールからまとめて引き抜かれるケースも多く、決して安心できないということを、豊富な事例を持って紹介。これへの対策としては、ハンドホール自体をコンクリートで固め、開けられなくしてしまう方法が有効であるという。ケーブルの交換が必要になった場合には、コンクリートを破壊する必要があるが、それほど高額な工事にはならないので、費用対効果は高い。実際、この対策を講じた発電所で、ケーブル盗難に遭ったところはないとのことだ。
イノベーター代表取締役の河野靖喜氏は、防犯カメラの重要性について指摘する。太陽光発電所の防犯カメラには、遠隔監視や自動通報はもちろんのこと、不審者の侵入を検知したら音声や光サイレンで威かくや警告を行い、犯行を未然に防ぐ能力が求められる。
また、大規模発電所の多くは猪や鹿など野生動物が生息する地域にあるので、防犯カメラは窃盗犯と野生動物を明確に識別できるものでなければならない。そのため、AIなどによる対象認識機能が必須であり、これがないと誤検出が多発してしまうことにもなりかねないと話す。
今日、多くの事業者がケーブル盗難対策に注力しているが、抜本的解決にはほど遠い状況だ。このままのペースで盗難が増え続ければ、社会の電源インフラを脅かすことにもなりかねない。警察庁の「金属盗対策に関する検討会」を皮切りに、官民連携による幅広い対策が講じられることを期待したい。
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