将来、廃棄される太陽光パネルが大量に発生することに備え、急ピッチで検討が進んでいるリサイクル制度。直近の検討会では、リサイクルの主体やその費用負担者などについて、制度の骨格が示された。
太陽光発電(住宅/非住宅)の導入量は、FIT開始前は約560万kW、FIT開始後では6,823万kWに上る(2024年3月末時点)。使用済み太陽光パネル(太陽電池モジュール)の排出量は2040年代前半にピークを迎え、50万t/年に上ると推計されている。
使用済み太陽光パネルは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)に基づき、排出者(太陽光発電事業者、解体事業者等)が適正に処理することが求められるが、現時点においてリサイクルは義務付けられていない。
また、再エネ特措法(FIT/FIP)に基づく太陽光発電設備については廃棄等費用積立制度が措置されているが、近年増加しつつある非FIT/非FIP太陽光発電設備では、このような制度は未整備である。
このため国は、非FIT/非FIPも含めたすべての太陽光発電設備を対象とした、廃棄・リサイクル制度を創設する方針だ。その検討を進めている太陽光発電設備リサイクル制度小委員会の第6回会合では、リサイクルの主体やその費用負担者など、制度の骨格が示された。
太陽光発電設備は太陽光パネルのほか、パワーコンディショナー(PCS)や基礎等のさまざまな部材から構成されている。このうちPCSについては有価物として取引が行われており、架台や基礎等は建設リサイクル法等により、すでにリサイクル(再資源化)が行われている。このため、新たな制度におけるリサイクル義務の対象は、太陽光パネルに限定することとした。
太陽光パネル重量の約6割を占めるガラスは、現時点その多くが路盤材やグラスウール等へとリサイクルされている(図3)。これら製品へのリサイクルは1回のみ可能(ワンウェイ)であるほか、将来予想される太陽光パネルの排出量と比べ、再生ガラスの利用量が少ないという課題がある。プラスチック(EVA)は、現時点、経済的なマテリアルリサイクルが困難であるため、当面はサーマルリサイクル(熱回収)も許容する。
ただし、リサイクルを行う中間処理業者(再資源化事業者)の今後の投資判断のためにも、中長期的に目指していく再資源化の水準・方向性についても示していくことは重要である。
例えばガラスは、半永久的に何度もリサイクル可能である「板ガラス」への再生利用や、プラスチック(EVA)やシリコンもマテリアルリサイクルを行うなど、太陽光パネルの高度な資源循環を目指すこととする。
なお、ペロブスカイト等の次世代型太陽電池についても、今後のリサイクル技術の進展状況等を踏まえ、新制度の対象とするかを検討していく予定としている。
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