家電リサイクル法や自動車リサイクル法では、その製造業者等に対してリサイクル(再資源化)を求めている。他方、家電や自動車と比べ、太陽光パネルは海外製造業者のシェアが非常に高いほか、製品の使用期間(製品寿命)が長いといった特徴がある。よって、パネル廃棄時には製造業者等(輸入販売業者を含む)が存在しないことも想定されるため、製造業者等に使用済み太陽光パネルの引き取りや再資源化の実施を義務付けることは困難であると考えられる。仮に義務付けたとしても、その実効性は疑わしいものとなる。
よって太陽光パネルの再資源化については、まずは使用済み太陽光パネルが解体・撤去業者から「再資源化事業者」に確実に引き渡されるようにするため、各主体に「引渡し義務・引取り義務」を課すこととする。この上で、後述の「認定再資源化事業者」に対して、自らが引き取った太陽光パネルの再資源化の実施を求める方針だ。
今後の使用済み太陽光パネルの排出量や排出タイミングは、地域により異なることが想定されるが、現状では再資源化事業者の所在や処理能力には地域的な偏りがある。今後パネル排出量が増加した際にも安定的に処理を実施するためには、複数の都道府県を越えた広域での回収を行い、同時に一定水準以上の技術を有する再資源化事業者数及び処理能力を増やす必要がある。
このため、広域的に使用済太陽光パネルを引き取り、一定水準以上の再資源化等ができる事業者を、主務大臣が認定する制度を新たに設け、当該認定事業者に対して、引取り及び再資源化等の実施を求める制度とする。
太陽光パネル再資源化事業の安定性が向上することにより、既存事業者による設備増強や再資源化事業への新規参入を促し、処理能力の確保や、効率的かつ高度なリサイクルの実現が期待される。
なお、新たな制度の開始に際しては、産業廃棄物処分業の許可や、再資源化事業等高度化法(2024年5月公布、未施行)の認定等の、既存制度との整理が必要となる。
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