なお先述の図6のように、再資源化費用は、製造業者・輸入業者が新たなパネルの製造・輸入時に支払うことが原則である。ただし、既に設置済みである住宅用(10kW未満):1,533万kW、事業用(10kW以上):5,849万kWの太陽光パネルについても、再資源化を実施することが適切であることから、設置済みパネルの再資源化費用も担保される仕組みが必要である。
また、使用済太陽光パネルの排出量は2030年代後半以降に大きく増加する見込みであるが、現在の製造業者等に比べ、将来の製造業者等の負担が過重なものとならないよう、再資源化費用の負担を現在及び将来の製造業者等間で平準化し、費用回収の確実性を高める必要がある。
このため、再資源化費用の単価は、本制度の施行後に排出される使用済み太陽光パネル(本制度施行前に設置済みを含む)の将来にわたる再資源化の原資となる水準として、今後、具体的単価を検討する予定としている。
なお、設備所有者に対して交付される再資源化費用は、支払い時と同様に、太陽光パネル重量(kg)に「一定の単価」を乗じることで算定する。これは、再資源化に要する実額を精算するのではなく、重量あたり一定額を交付する仕組みであるため、再資源化費用低減のインセンティブが生じることとなる。過度なコスト抑制に走り再資源化が疎かとならぬよう、より高度な再資源化へ誘導する措置の検討が求められる。
再エネ特措法では、使用済太陽光発電設備の放置防止や解体等費用の確実な確保のため、FIT/FIP認定事業者に対して廃棄等費用の積立義務を課しているほか、認定情報について国は自治体等へ情報提供を行っている。
今後の増加が見込まれる非FIT/非FIP太陽光についても、解体等費用の確実な確保は重要であるため、国は、非FIT/非FIP太陽光の設備所有者に対して、原則として事業開始前に解体等費用を第三者機関へ預託(外部積立て)を求めることとした。
新たな制度は、既に設置された設備も対象とするが、その支払い時期については一定の配慮が必要であるため、詳細は今後の検討とされた。
また再エネ特措法では、10kW未満の太陽光発電設備は家屋解体時に適切に廃棄されると想定されるため、廃棄等費用積立制度の対象外としていることを踏まえ、非FIT/非FIP太陽光についても、住宅用太陽光設備等の所有者は預託義務の対象外とする。同じく再エネ特措法と同様に、確実な費用確保が見込まれる設備所有者については、例外的に内部積立を許容する。
解体等費用の算定は、再エネ特措法と同じく、発電設備出力(kW)を算定の単位として、FIT/FIP制度において想定されている廃棄等費用の水準を参考とする。
なお、太陽光発電設備の解体等に要する費用は、設備所有者自身が確保することが大前提であり、仮に個別の案件において預託金だけでは費用が不足した場合でも、設備所有者は不足分を補い、適正に解体等を実施することが必要となる。
国は今後、非FIT/FIP設備も含め、太陽光発電設備に関する情報(所在地や発電事業の廃止情報等)と廃棄・リサイクルに関する情報(パネル含有物質やパネルの処理状況等)を紐付けて管理することが可能な、統合的な情報プラットフォームの整備に向けた検討を進める予定としている。
いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向
2030年に新築住宅の6割に太陽光発電を導入へ トップランナー基準の目標が具体化
太陽光発電設備のリサイクル義務化へ――制度設計の最新検討状況Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10