住宅へのさらなる太陽光発電の導入拡大に向けて、国は住宅の省エネ性能の指標となる「トップランナー制度」に、太陽光発電の導入目標を組み入れる計画だ。このほど、その具体的な目標値案が公表された。
カーボンニュートラル実現に向けて、住宅・建築物においてもさらなる再エネ導入拡大が必要とされる。このため国の第6次エネルギー基本計画では、2050年までに、設置が合理的な住宅・建築物には太陽光発電設備の設置が一般的となること、また2030年には新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指している。
国土交通省によれば、2022年度の新築戸建住宅における太陽光発電設備設置率は31.4%と推計されており、目標達成にはさらなる導入加速が必要とされている。
そこで国は、「住宅トップランナー制度」において、新たに太陽光発電設備の設置に係る目標を設定することとした。国土交通省の「建築物エネルギー消費性能基準等小委員会」と資源エネルギー庁の「建築物エネルギー消費性能基準等ワーキンググループ」の2省合同会議(第20回)では、その具体的な目標値が示された。
「住宅トップランナー制度」では、建築物省エネ法に基づき、規格化された住宅を大量に供給する大手住宅事業者に対して、省エネ性能の目標値(トップランナー基準)の達成を求めている。目標達成は努力義務であるものの、目標年度における達成状況が不十分である場合などには、国土交通大臣は当該事業者に対して、勧告・公表・命令(罰則)を行うことが可能であり、一定の強制力を持つ仕組みとなっている。
本制度では、住宅区分ごとにおおむね半数をカバーするよう対象事業者の要件を設定しており、現在は年間の供給戸数が、建売戸建住宅:150戸以上、注文戸建住宅:300戸以上、賃貸アパート:1,000戸以上、分譲マンション:1,000戸以上、の大手事業者が対象となっている(※分譲マンションは、2023年度から制度対象となったため、現時点、詳細データは未公開)。
従来の住宅トップランナー基準では、住宅の省エネ性能として、表1のような外皮性能や一次エネルギー消費量(平均BEI)を、目標年度までに達成することを求めてきたが、今回の見直しに際して、新たに太陽光発電設備(PV)設置率の基準を設けることとした。
なお、住宅トップランナー制度は賃貸集合住宅や分譲マンションも対象としているが、PV設置率の基準は、戸建住宅(建売・注文)のみを対象とする。
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