2030年に新築住宅の6割に太陽光発電を導入へ トップランナー基準の目標が具体化「建築物エネルギー消費性能基準等小委員会」(第20回2省合同会議)(2/4 ページ)

» 2024年11月08日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

住宅トップランナー事業者における現状のPV設置率

 先述の通り、新築戸建住宅全体における太陽光発電設備(PV)設置率は31.4%であるが、住宅トップランナー事業者におけるPV設置率(戸数ベース、2022年度)は、建売戸建:8.0%(6,500戸/80,925戸)、注文戸建:58.4%(57,864戸/99,145戸)、賃貸アパート:21.3%(26,811戸/125,750戸)である。

 住宅トップランナー事業者数ベースでPV設置率を見たものが図1であり、注文戸建では設置率70%以上の事業者が3割を超えるのに対し、賃貸アパートでは設置率が低いなど、住宅種別により大きな差が生じている。

図1.PV設置率(住宅トップランナー事業者数ベース) 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会

 また、注文戸建住宅を地域別に見ると、温暖な地域でPV設置率が高いことは事実であるが、寒冷地(1・2地域)においても4割程度の住宅にPVが設置されていることが確認されている。

図2.注文戸建住宅の地域区分別にみたPV設置戸数割合 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会

太陽光発電設備の設置目標からの除外要件

 住宅トップランナー基準の次期目標年度である2027年度における太陽光発電設備の設置目標は、2022年度の設置率31.4%と2030年度目標60%を無理なくつなぐ水準とすることが考えられる。

 ただし、地域性や敷地条件により、太陽光発電設備の設置が困難な住宅もあるため、これを考慮した目標とする必要がある。なお第6次エネルギー基本計画においても、「2050年において設置が合理的な住宅・建築物には太陽光発電設備が設置され」ることを目標としている。

 新たな住宅トップランナー基準において、太陽光発電設備の「設置が合理的」とは言えない住宅として、以下のいずれかに該当する住宅を除外することとする。

  • 多雪地域(建築基準法で規定する垂直積雪量が100cm以上に該当する地域)に該当する住宅
  • 都市部狭小地(北側斜線制限の対象となる用途地域等(第一種及び第二種低層住居専用地域、第一種及び第二種中高層住居専用地域並びに地方自治体の条例において北側斜線規制が定められている地域)であって、敷地面積が85m2未満である土地)に該当する住宅。ただし、住宅が平屋建ての場合を除く
  • 周辺環境等により太陽光発電設備の設置が困難な住宅

 国土交通省の推計によれば、多雪地域における住宅着工割合は9.5%、都市部狭小地における住宅着工割合は6.7%であり、その他周辺環境等によりPVの設置が困難な割合を数%程度と仮定し、目標設定にあたり「設置が合理的」とは言えない住宅は、全住戸のうち「20%」と想定することとした。

図3.PVの「設置が合理的」とは言えない住宅の割合 出典:建築物エネルギー消費性能基準等小委員会

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
あなたにおすすめの記事PR