「3つの電池」が連携するパナソニックの再エネ活用、英国で実証スタート蓄電・発電機器

パナソニックは2024年11月3日、純水素型燃料電池に太陽電池と蓄電池を組み合わせた3電池連携制御システムなどを英国子会社のパナソニック マニュファクチャリングイギリス(PMUK)の電子レンジ組み立て工場に実証導入したと発表した。

» 2024年12月06日 15時30分 公開
[スマートジャパン]

 パナソニックは2024年11月3日、純水素型燃料電池に太陽電池と蓄電池を組み合わせた3電池連携制御システムなどを英国子会社のパナソニック マニュファクチャリングイギリス(PMUK)の電子レンジ組み立て工場に実証導入したと発表した。

 PMUKの電子レンジ組み立て工場は、ピーク電力は約280kW、年間消費電力は約1GWhというエネルギー消費量となっている。今回同工場に5kWタイプの純水素型燃料電池を21台導入し、372kWの太陽電池と1MWhの蓄電池を組み合わせて必要な電力を100%再生可能エネルギーで供給する運用を目指す。

 純水素型燃料電池は、21台を連携制御することで運転時間の平準化を図り、無停電メンテナンスを可能にするなど保守性を高めたという。また英国内で製造されたグリーン水素を使用することで、電子レンジ組み立て工場で使用する電力の脱炭素化を図る。太陽光発電設備については2023年にPMUK社屋の屋根に設置された合計760kWの太陽電池のうち、372kW分を電子レンジ組立工場に活用。既設の太陽電池に、新設した純水素型燃料電池と蓄電池を組み合わせて3電池の連携制御を行う実効性の高いソリューションの開発および有効性を検証する。

 今回の実証施設では、純水素型燃料電池の発電時に発生する熱を電子レンジ組み立て工場内の暖房と給湯に利用する。こうしたコージェネレーションにより純水素型燃料電池のエネルギー効率95%の達成を目指すという。発電時の熱は、今回新設した「水循環型空調」の予熱としても活用する。さらに、既設の電気ボイラーとも熱連携を行い、工場内の給湯に必要な消費電力の低減を図る。

 工場の電力需要変化と英国の気象変化に追随するエネルギーマネジメントシステム(EMS)も導入しており、EMS高度化のためのノウハウを蓄積し、再生可能エネルギーの発電、蓄電、送電のロスを最小化し安定的に供給する需給調整技術を強化するとしている。なお、EMSの運用開始は2025年3月頃を予定している。

英国の電子レンジ組み立て工場に導入したシステム左から蓄電池、社屋の太陽光パネル、純水素燃料電池 出典:パナソニック

 またパナソニックでは、こうした水素を活用する同社のエネルギーソリューションを総称する新たなブランド名として「Panasonic HX」を策定。環境負荷の少ない水素(H)の本格活用という新たな選択肢を提案し、パートナー企業や行政、ビジネス顧客とのコラボレーション(X)によって、脱炭素社会へのトランスフォーメーション(X)に貢献していくという意味を込めた名称だという。

 今回、PMUKの工場への実証導入を皮切りに、水素事業の販促や告知活動などで活用し、欧州市場での認知拡大を目指す。将来的には、環境貢献事業を牽引するフラッグシップブランドとして、グローバル展開していく予定だ。

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