東日本大震災から13年が経過したが、東京電力福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組むことが、国のエネルギー政策の原点であることに変わりはない。福島の復興・再生に向けて最後まで取り組んでいくことは、引き続き政府の責務である。
福島第一原発の事故後、第6次エネ基まで、「可能な限り原発依存度を低減する」の一文が記されていたが、第7次エネ基の原案ではこれが削除された。
また発電コスト検証WGでは、2040年に発電設備を新設した際のkWh当たりの発電コストLCOE(※既存設備を運転するコストではない)を一定の前提条件のもとで試算した。
太陽光等の変動性再エネが大量に(設備容量ベース4〜6割)導入された系統に対して、さらに電源を追加する際に発生する「統合コスト」は、原子力では相対的に小さいことが確認された。ただし、デマンドレスポンスの活用など前提条件次第では、図4の試算結果も変わることに留意が必要である。
また第7次エネ基原案では、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建て替えを対象として、地域の産業や雇用の維持・発展に寄与し、地域の理解が得られるものに限り、六ヶ所再処理工場の竣工等のバックエンド問題の進展も踏まえつつ具体化を進めていく」と記された(下線は筆者)。
従来、原子力の新設は、廃炉を決定したサイト内だけが対象であったが、同じ事業者であれば他のサイトでも新設が可能となった。
ただし、建て替えの対象は「次世代革新炉」(革新軽水炉、SMR=小型モジュール炉、高速炉、高温ガス炉、核融合)に限られる。発電コスト検証WGでは、次世代革新炉はまだ基本設計や概念設計が確定しておらず、正確なコスト試算を行うことが困難であるとして、コスト検証は見送られた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10