第7次エネルギー基本計画の原案が公開 2040年の電源構成は再エネが最大想定に第67回「基本政策分科会」(2/5 ページ)

» 2024年12月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

需要側の省エネ・非化石転換の見通し

 2023年のG7会合では、省エネが「第一の燃料(first fuel)」として位置づけられ、COP28のGlobal Stock take決定文書には、2030年までに世界全体のエネルギー効率の改善率を世界平均2倍とする内容が盛り込まれるなど、省エネの重要性が世界でも再認識されている。

 日本の最終エネルギー消費量は、2013年度の3.63億kL(原油換算)から2022年度の3.06億kLへと16%減少し、第6次エネ基の目標2.80億kLの達成に向け、オントラック状態にある。ただし、2013年度からの減少分0.57億kLのうち、活動量・構造要因が最大の0.25億kLを占めており、国内減少分の一部は、海外での増エネ(カーボンリーケージ)を招いている可能性もある。

図2.最終エネルギー消費の減少要因(2013年度比) 出典:基本政策分科会

 エネルギー効率の改善(省エネ)と脱炭素化には、電化や燃料の非化石転換が重要であり、製鉄等のCO2排出削減が困難な産業(Hard to abate産業)の抜本的な製造プロセス転換に向けて、官民一体で取組を進めることが産業競争力の維持・向上に不可欠である。

 業務・家庭部門では、一度建築されると長期ストックとなる住宅・建築物について、2050年にストック平均でのZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能の確保を目指し、2030年度以降に新築される住宅・建築物はZEH・ZEB水準の性能とする目標を掲げている。今後はZEHの省エネ性能の大幅な引上げを実施するとともに、自家消費型太陽光発電の促進を行うよう、その定義を見直す予定である。

脱炭素電源の拡大・系統整備・電力システム改革の方向性

 半導体の省エネ性能の著しい向上などにより、電力需要がそれほど増加しない可能性も否定できないが、第7次エネ基原案では、需要に見合った脱炭素電源が確保できないことを理由として、国内産業立地の投資が行われず日本経済が成長機会を失うことは、あってはならないと強調している。よって、再エネか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、エネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが必要不可欠である。

 また、電力の安定供給確保と再エネの最大限の活用を実現するため、地域間連系線や地内基幹系統等の増強を着実に進める。

 さらに、脱炭素電源や系統整備といった大規模かつ長期の事業に対する投資回収の予見性を高め、事業者の積極的な新規投資を促進する事業環境の整備及び、必要な資金を安定的に確保していくためのファイナンス環境の整備に取り組む。

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