太陽光発電の最新コスト動向 新規導入の低迷を受け「初期投資支援」の検討も第100回「調達価格等算定委員会」(3/5 ページ)

» 2025年01月07日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

事業用太陽光の「運転維持費」は想定値を見直しへ

 2024年設置案件の定期報告データをもとに、事業用太陽光の運転維持費を分析すると、地上設置では中央値0.42万円/kW/年、屋根設置では中央値0.40万円/kW/年であった。

 いずれも昨年度までと同様に、2025年度までの想定値0.5万円/kW/年を下回る費用であることが確認されたため、2026年度の想定値を0.42万円/kW/年に見直すこととした。

 運転維持費の想定値が見直されるのは、2017年度以来(2016年度までの0.6万円/kW/年を0.5万円/kW/年に変更)、実に9年ぶりのことである。

表1.事業用太陽光の運転維持費 出典:調達価格等算定委員会

2026年度調達価格・基準価格における想定値

 その他の費用項目については、定期報告データの分析結果をもとに、資本費(システム費用、土地造成費、接続費等)及び設備利用率、運転年数は、2025年度の想定値を据え置くことした。

 また調達期間終了後の売電価格については、ロシアのウクライナ侵略による燃料価格高騰の影響が大きい2021年度と2022年度を除いた7年間のJEPXシステムプライス平均値9.6円/kWhを、想定値として採用することとした。

 以上のコストデータを踏まえ、事業用太陽光(入札対象範囲外)の2026年度のFIT調達価格・FIP基準価格における想定値は、表2のとおりとした。

表2.事業用 2026年度調達価格・基準価格における想定値 出典:調達価格等算定委員会

住宅用太陽光のコスト動向と2026年度の想定値

 2024年の住宅用太陽光発電(10kW未満)のシステム費用は、新築案件・既築案件いずれも2023年に続き、前年と比べて上昇した。ただし、効率的な事業実施を促す観点から、2025年度の想定値(25.5万円/kW)を2026年度も維持することとした。

図4.住宅用太陽光のシステム費用 出典:調達価格等算定委員会

 定期報告データによると、運転維持費の平均値1,061円/kW/年は想定値を下回り、設備利用率平均値14.5%は想定値を上回るなどの差異はあるが、いずれも2025年度の想定値を維持することとした。

表3.住宅用 2026年度調達価格・基準価格における想定値 出典:調達価格等算定委員会

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