オプトアウト制度は、原則として低圧需要家だけでなく高圧以上の全需要家が利用可能であるが、一時的な電気の使用に限定される「臨時接続送電サービス」はオプトアウトの対象外である。
スマートメーターは通信部を取り外し可能であり、オプトアウト希望者に対しては、この通信部を取り外すことで対応する。
なお、オプトアウトを行った場合も通常時と同様に、検定満了(最大10年)時には、通信部付きの計器への取替えが必要となるため、検定満了ごとに、オプトアウトの意思表示を求めることとする。
工事困難箇所など一般送配電事業者の事情によりスマートメーターを設置しないケースは、オプトアウトには該当しない。
需要家がオプトアウトを希望した場合、一般送配電事業者では、「1.オプトアウトの申込受付処理」「2.通信部取外し工事」「3.毎月の検針」「4.オプトアウトの料金請求」「5.オプトアウト終了時の通信部の復元工事」「6.検針のための移動」に関するコストが計器ごとに発生する。
このうち「5.オプトアウト終了時の通信部の復元工事」は、検定満了(原則10年)に伴う計器交換との切り分けが困難であり、「6.検針のための移動」は対象需要家だけの移動費算定は難しい。そのため1〜4を対象としたオプトアウト1件当たりの追加コストを試算し、その費用は10年間で12〜26万円程度となる見通しである。
オプトアウトを希望する需要家に対して、オプトアウトに伴い生じる追加費用を実費ベースで請求することが、負担の公平性の観点では原則であると考えられる。この場合、工事等にかかる初期費用と検針等にかかる毎月発生する費用をそれぞれ請求する形(案1)と検定満了(最大10年)までの費用を一括で請求する形(案2)が考えられるが、対象となる需要家の負担の平準化の観点では案1が望ましいと考えられる。
ただし案1・案2いずれであっても、一般送配電事業者等のシステム改修等に膨大なコストが発生し、オプトアウトした需要家に求める負担額も大きくなることが想定される。(表5の金額は、システム構築費用を含まない試算)。また、案1では毎月の請求業務、案2では途中解約時等の返金など、いずれも制度実務が煩雑になり、一般送配電事業者や小売電気事業者の負担も大きいと考えられる。
これに対して案3では、一定の「割り切り」のもと、制度をシンプルにして、「事務手数料」を制度申込時に一括して請求し、その後の支払いや返金は不要としている。
案3は、一般送配電事業者や小売電気事業者の業務負担が小さく、システム改修が不要というメリットがあることから、資源エネルギー庁事務局ではこの案3を採用することした。ただし事務手数料とは、オプトアウトに共通して発生する最低限のコストのみをカバーする金額水準であり、実費との差額は、託送料金を通じて他の需要家が薄く広く負担することには留意が必要である。
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