現在スマートメーターは、低圧と高圧の合計で約8,150万台設置されており、現在でもスマートメーターの設置を拒否することは可能である。スマートメーターの設置拒否件数(2023年度末時点のストック)は、全国で40,914件(約0.05%)であり、東京エリアや北海道エリアでは拒否率が高い傾向となっている。東京エリアでは、拒否率が高いだけでなく、スマートメーターの全数導入が完了した2020年以降も継続的に拒否率が増加している。
需要家がスマートメーターの設置を拒否した場合、一般送配電事業者は、計器の取り外し等の工事対応が必要となり、毎月の検針は従来通り検針員を派遣して行う必要がある。また、設置拒否していた需要家が転居(退去)し、新しい需要家向けにスマートメーターを設置する場合には別途工事が必要となるなど追加的な費用も発生する。
設置拒否件数が4万件を超える現状において、これらの費用は全国で年間20億円程度と推計されており、この費用はすべての需要家が薄く広く負担する結果となっている(一般負担)。
東京エリアにおける設置拒否の増加率(2020〜2022年度平均22%)が、今後全国的に広がると仮定した場合、2032年度時点の拒否件数は全国で約24万件(0.3%)に上ると推計される。よって、レベニューキャップ制度の第2規制期間(2028〜2032年度)において発生する社会的費用は、全国で約100〜300億円(拒否件数が現状の4万件〜24万件の場合)と試算されている。
また、大地震等により電力の需給が逼迫した際には、スマートメーターの遠隔操作により、使用アンペア数を制限し、大規模停電を回避するが、スマートメーターの設置拒否をした需要家はこの対象とならない(遠隔操作できない)ため、電気の使用者間の公平性といった観点の問題もある。
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