先述の表4の通り、オプトアウトに係る費用のうち、5と6については、対象となるコストの特定が困難であるため、事務手数料の設定に当たっては最低限のコストとして1〜4を勘案して設定することとした。
このうち「3.毎月の検針」は、オプトアウト中は毎月発生するコストであり、どの程度の期間分の費用を「最低限のコスト」として織り込むことが妥当であるかが論点となる。日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、賃貸住宅における平均入居期間は、家族世帯と比較して短期間の使用となる単身世帯では3年程度であることが分かっている。
よって、検針準備・現地検針に関しては最低限のコストとして3年分を織り込み、一般送配電事業者各社の人件費や対応実績等を考慮すると、オプトアウトに要する費用は4万4000〜8万4000円程度と試算された。
オプトアウト事務手数料は全国共通の一律金額とすることが合意されているため、ここでも小さいほうの金額に合わせることして、計器ごとに4万4000円の料金として設定することとした。ただし、インフレやオプトアウト需要家の増加など、大きな環境変化が生じた場合には、必要に応じて料金設定を見直すこととする。
メーターは原則10年で検定満了を迎えるため、検定満了ごとに需要家の意思表示を求め、オプトアウトの継続を希望する場合には、再度4万4000円の費用負担を求めることとなる。
この事務手数料4万4000円により回収可能な金額は、全国5年間で40〜70億円程度に留まり、残りの約60〜230億円は一般負担(すべての需要家が薄く広く負担)となる。もちろん、オプトアウト希望者数が減少すれば、一般負担となる総額も減少する。
需要家がオプトアウトを希望した場合の取り扱いや業務フローについては、既存の「工事費負担金」の仕組みと同様のものとして、一般送配電事業者は需要家に直接、オプトアウト事務手数料の請求書を送付し、支払いを求めることとする。
ただし、スマートメーターの利用有無は、小売電気事業者によるサービス内容にも関係することから、事前に小売事業者の承諾を得ることとする。また、支払いに関するトラブルを回避する観点から、オプトアウトに係る工事は事務手数料の支払確認後に実施する。
オプトアウト制度の導入に当たっては、需要家に追加の費用負担が発生することや、すでにオプトアウト状態となっている需要家が存在することから、一定の猶予期間を設ける必要がある。
需要家への十分な周知や需要家自身のオプトアウトの検討、一般送配電事業者・小売電気事業者の体制構築、これまで設置拒否してきた需要家がスマートメーターの設置を希望した場合の取替え工事にかかる時間等を確保する観点から、オプトアウト制度の開始時期はレベニューキャップ制度第2規制期間の開始日と同じ2028年4月1日とする。
なお、これまで設置拒否してきた需要家に対しては、2028年4月1日までにオプトアウトの意思確認を行い、オプトアウトを継続する場合には、この時点で事務手数料の支払いを求め、未払いの場合には通信部の復元工事を行うこととする。
安定供給や経済性、環境性の観点から社会全体としては、スマートメーターを設置することが望ましいため、一般送配電事業者や国は、需要家に対して丁寧に情報提供し、十分な周知を行うことが求められる。
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