近年、建築物のライフサイクル全体において発生するCO2(ライフサイクルカーボン)の削減が求められており、建設現場で使用する重機の燃料についても脱炭素化が進められている。
日本のJIS及び品確法はいずれも公道の走行を対象とした軽油規格であり、建設現場内などの非公道(オフロード)での使用は対象外であるため、高濃度のBDFを使用可能である。
しかしながら現時点、日本にはB5(軽油へのBDF混合率5%)を超える燃料規格が存在せず、建設機械メーカー等はB5超燃料の使用についてメーカー保証を原則与えていないため、結局、ユーザーはB5以下のBDFを使用せざるを得ない状態となっている。
他方、欧州では非公道を対象とした燃料規格として「B20」(混合率20%)や「B30」、米国ではB6〜B20規格を策定しており、海外建設機械メーカーはこれに沿ったメーカー保証をユーザーに付与している。また、このような海外メーカーは日本に建設機械を輸出し、日本でのB20燃料の使用に対してメーカー保証を付与することにより、市場を獲得している。
このため資源エネルギー庁では、新たに非公道専用のB20、B30燃料のJIS規格を策定し、日本メーカーに同規格に合致した建設機械やフォークリフト、農業機械等の市場投入とメーカー保証を促すこととした。
HVO(第二世代BDF)は第一世代BDFとは異なり、それ自体は炭化水素であるため、軽油とほぼ同じ性状であるが、その密度は軽油と比べ、やや小さい。このためEUでは、HVO・e-ディーゼル用の新しい規格EN15940を策定済みである。
他方、日本の品確法軽油規格では、密度は上限値(≦875.7 Kg/m3)のみが定められているため、HVOは現状でも同規格に適合すると言える。ただし、HVOについてはJIS規格上の取扱いが定まっておらず、高濃度で軽油に混合することの品質管理も定まっていないため、車両メーカーの保証についても未定となっている。
このため資源エネルギー庁では、公道でのHVO利用の普及促進のため、軽油のJIS規格を改正し、HVOを軽油に高濃度で混合する際の規格を策定するとともに、HVO 100%のJIS規格の策定についても検討を行う予定としている。
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