次世代バイオディーゼル燃料の制度動向 燃料規格や税制の見直しの方向性第18回「脱炭素燃料政策小委員会」(2/4 ページ)

» 2025年04月17日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

FAME(第一世代BDF)の需給・価格動向

 全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会の調査によると、2023年度におけるFAME(第一世代BDF)の国内製造量は10,579kL、製造事業者数は36者である。軽油への混合率5%の「B5」はバスやトラックなどの輸送分野で利用されており、100%の「B100」はボイラー等の熱源や発電燃料、船舶等で使用されるほか、一部は輸出もされている。

 全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会では、「バイオディーゼル燃料の製造・利用に係るガイドライン」により自主的な品質規格を定めているほか、「バイオディーゼル燃料品質確認制度」により、更なる品質向上を図っている。

図4.軽油の販売価格・FAMEの製造コスト推移 出典:脱炭素燃料政策小委

 現在のFAMEの製造コストは200円/L程度であり、流通費も含めると、軽油(大口需要者向けローリー渡価格(消費税抜き、軽油引取税込み))の2倍程度の価格となっている。また現時点、HVO(第二世代BDF)の価格は統計情報が公表されていないが、軽油の3〜5倍程度であると考えられている。

FAMEに係る規格・規制等(公道)

 軽油の品質については、JIS及び「揮発油等の品質の確保等に関する法律」(品確法)により、公道の走行を対象とした燃料規格が定められている。品確法においては、車の安全性や実用性能への影響を考慮し、軽油の総量に対してFAMEを5%まで混合すること(B5)を可能としている。

表1.品確法における軽油の規格(強制規格) 出典:脱炭素燃料政策小委

 他方、EUでは公道走行用の軽油規格として、FAME混合率上限を7%(B7)と定めているほか、「B10」対応車について欧州自動車工業会が適合車リストを公表するなど、より高い混合率のFAMEを使用できる環境を整備している。

 このため、資源エネルギー庁では脱炭素効果の拡大を目指し、品確法の上限を7%に引き上げることについて検討を開始した。仮に品確法の上限を7%とした場合、商用車(トラック・バス・建設機械等)については、同規格に合致した車両をメーカー保証を付した上で、積極的に市場に投入していくことが求められる。日本自動車工業会は、7%への引き上げについて、前向きに対応を検討する意思を表明している。

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