長期脱炭素電源オークションでは、蓄電技術として既に「揚水発電」や「蓄電池」が入札対象となっている。現在、「長期エネルギー貯蔵システム」(LDES:Long Duration Energy Storage)と総称されるさまざまなタイプの長期蓄電技術の開発が進められており、第3回入札以降には具体的な応札も想定されている。
このため第3回入札では、原則「揚水」と同じ条件(募集上限、上限価格、最低応札容量、調整係数)で、「長期エネルギー貯蔵システム」を対象に追加することとした。ただし、供給力提供開始期限は蓄電池と同じ「4年」とする。
以上より、長期脱炭素電源オークションの第3回入札対象となる電源の供給力提供開始期限は表3の通りとなる。
長期脱炭素電源オークション第1回入札では、募集量を大きく超える応札容量があったものの、蓄電池・揚水以外の新設・リプレース案件の応札量・落札量は少なく、新設・リプレース案件の投資判断を強く後押しする結果になったとは言い難い。このため制度検討作業部会では、新設等の応札を促し、エネルギーミックスの観点から多様な電源種への投資を確保するため、さまざまな制度見直しを行うこととした。
これまでの長期脱炭素電源オークションでは、応札価格に算入できる事業報酬として、すべての電源種で一律に、税引前WACC(加重平均資本コスト)「5%」を上限としている。
通常、投資リスクの大きい電源では高い事業報酬率が求められるため、現在の仕組みでは投資リスクの低い電源種のみに応札が偏ることが懸念される。
多様な電源種への投資を確保するためには、電源種ごとのリスクを定量化することが望ましいが、実際にはこれは困難である。このため制度検討作業部会では、次善策として投資リスクの一部である「建設リードタイム」の長さに着目し、異なる事業報酬率を設定することとした。
よって、第3回入札では事業報酬率5%をベースとして、建設リードタイムが10年以上の案件はリスクプレミアムとして事業報酬率を1%加算できることとし、5年未満の短い案件は1%減じることとした。なお本制度では、リクワイアメントとして設けている「供給力提供開始期限」を建設リードタイムと見なすこととする。
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