日揮と太陽電池ベンチャーのPXPが、フィルム型太陽電池の導入実証を開始した。
日揮ホールディングスは2025年5月15日、国内EPC事業会社である日揮と、太陽電池ベンチャーのPXPが、横浜市内の施設屋根でフィルム型カルコパイライト太陽電池を用いた大面積発電モジュールの実証実験を開始したと発表した。
今回の取り組みでは横浜市内の日揮グループ所有施設内において、フィルム型のカルコパイライト太陽電池を、あらかじめ電気配線で接続した複数の薄膜太陽電池を基材シート上に並べて設置。約10平方メートルの大きさで、このような手法で薄膜太陽電池の大面積化を試みた実証は国内初になるという。
導入した太陽電池は、PXPが開発したもの。同社は国産フィルム型次世代太陽電池の研究開発と量産化に取り組んでいるスタートアップ企業。ペロブスカイト太陽電池と、CIGS系などとも呼ばれるカルコパイライト太陽電池を重ねた、タンデム型の太陽電池などの開発を進めている。2つの異なる波長特性を持つ太陽電池の組み合わせにより、軽量でありながら発電効率の高い太陽電池モジュールを開発する狙いだ。
施工については、日揮が独自に開発したシート工法を採用。これは薄膜太陽電池の軽く曲がるという特性を生かしたもので、遮熱シート上に薄膜太陽電池を取り付けて一体化したモジュールを、屋根などに貼り付けるだけで設置ができるというもの。グリッパーと呼ぶスリットのある筒状の金具で屋根に固定する仕組みで、施工が容易かつ着脱しやすいなどのメリットがあるという。倉庫や工場に採用される折板屋根をはじめ、建物の壁面などに低コストに太陽電池を導入できるとしている。
今回は工場や倉庫などの折板屋根を模した屋外環境にこのシート工法で施工した。設置したモジュールは面積当たりの重量が約2kgと比較的軽量な上、配線を削減したことで設置作業や配線作業の効率化に取り組んだことで、作業員一人で一日に100平方メートル分の施工ができることを確認できたとしている。
今回の実証は2025年4月から約1年間の計画で、薄膜太陽電池の大面積化におけるシート工法の適用可能性、PXPの薄膜太陽電池が持つ振動や衝撃に強い特性の有効性を確認する。
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