リチウムイオン二次電池市場は2040年に2.6倍に レドックスフロー電池需要も急増蓄電・発電機器

富士経済がリチウムイオン二次電池などの世界市場の見通しを公表した。

» 2025年05月20日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 富士経済は2025年5月13日、リチウムイオン電池やレドックスフロー電池など蓄電池の世界市場に関する調査結果を発表した。それによると、リチウムイオン二次電池の世界市場は、2040年に2023年比で2.6倍の48兆8405億円に拡大するとしている。

 リチウムイオン二次電池市場は、電動車とESS(Energy Storage System)向けなどの大型用途で伸び、2024年は前年比8.9%増が見込まれる。特に、電動車向けは、日本でEVの新型モデル発売が限定的になることや、欧州でEV向け補助金縮小の影響が懸念されたものの、中国ではEVの低価格化による販売増加を背景に需要が高まっている。一方、小型民生機器や電動工具、園芸工具などを対象とする小型用途ではスマートフォン市場などが回復に向かったものの、PCや家電需要の低迷、中国系セルメーカーの供給過剰により小型電池の価格が減少していることから、苦戦傾向にあるとした。

リチウムイオン二次電池の世界市場の見通し 出典:富士経済

 中長期的にも大型用途が市場拡大をけん引する見通し。欧州や中国、日本などは、2035年以降、新車の電動化を掲げており、需要の増加が予想される。また、再生可能エネルギーの導入が進んでおり、調整力として需要が増えるESS向けが伸びるとみられるため、2040年の市場は2023年比2.6倍に拡大すると予測した。小型用途では、電動工具・園芸工具や電動アシスト自転車で円筒型、ウェアラブルデバイスでラミネート型の採用が増加し、市場拡大に貢献するとみられる。

レドックスフロー電池は23年比35.8倍に

 また、調査では不燃性の電解液を利用し、安全性の高さや長期の運用に向くとして注目されているレドックスフロー電池の市場見通しについても公表した。2024年の同市場は業務・産業用や電力系統、再生可能エネルギー発電所などでの使用が増加し、2024年の市場規模は前年比5.4倍の2460億円となる見込み。

 中長期的には、短周期的な再エネ出力抑制などはリチウムイオン電池で対応し、計画的な長時間充放電をレドックスフロー電池で対応するなど、使い分けが進むことでさらに普及すると予想。特に2030年以降、バナジウム系資源が豊富な中国や豪州で大型ESS向けの伸びが期待される。また、バナジウム系以外のレドックスフロー電池も、米国や欧州メーカーの開発・実証によって製品化が進み、2040年の市場は2023年比35.8倍の1兆6252億円と予測した。

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