建築物の建設から使用にいたる全工程の脱炭素化に向けて、政府は「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」を設置。2028年度の開始を予定している建築物のライフサイクルアセスメント(LCA)制度に向け、各種施策のロードマップを公開した。
建築物の建設から解体に至るまでのライフサイクル全体を通じたGHG排出量(代替フロンの排出量を含む)は、日本のGHG排出量の約4割を占めると推定されており、建築物分野の脱炭素化は重要なポイントである。
建築物では、その使用段階でのエネルギー消費等に伴うGHG排出量を「オペレーショナルカーボン」と呼び、これまで建築物省エネ法等により、その排出削減が求められてきた。
また、建築物の建設や維持管理、解体等に伴うGHG排出量を「エンボディドカーボン」と呼び、このうち建設資材の製造や施工などの初期段階でのGHG排出量を特に「アップフロントカーボン」と呼んでいる。建築物ではこれら全体のGHG排出量を「ライフサイクルカーボン」または「ホールライフカーボン」と呼んでいる。
建築物では近年、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)など省エネの進展により、オペレーショナルカーボンの削減が進んでおり、新築建築物ではライフサイクルカーボンに占めるエンボディドカーボンの比率が5割程度に高まっている。
建築物のライフサイクルカーボンを削減するためには、建築物のライフサイクルアセスメント(LCA)を通じて、建築主、設計者や施工者などの主体がライフサイクルカーボンを把握し、それぞれが脱炭素化の取り組みを進めることが必要である。
また、国の「GX2040ビジョン」や「地球温暖化対策計画」では、建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進するための制度の構築やライフサイクルカーボンの削減が記されている。
このため、国は「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」を設置し、2025年4月に、「建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取り組みの推進に係る基本構想」を策定した。
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