欧州委員会は、2024年4月にEU建築物エネルギー指令(EPBD)を改正し、加盟国に対して、2028年から一定規模以上の新築建築物において「ライフサイクルGWP」の算定及び開示を義務付けることを決定した。ライフサイクルGWP(kgCO2eq/m2)とは、参照期間50年間における建築物ライフサイクル段階ごとのGHG排出量を平均し指標化したものである。現時点、欧州9か国で、エンボディドカーボンやライフサイクルカーボンを算定することを義務付ける制度を導入済みである。
建築物ライフサイクルカーボンの削減に向けた建築物LCAは、国内でも積極的な取り組みが行われてきており、日本建築学会は「建物のLCA指針」の初版を1999年に発行し、その後、数次の改定を行っている。またCASBEE(建築環境総合性能評価システム)では、2008年から簡易的なライフサイクルカーボン評価ツールを導入している。
産官学の連携による「ゼロカーボンビル(LCCO2ネットゼロ)推進会議」では、日本の建築事情を考慮した建築物ホールライフカーボン算定ツール「J-CAT」を開発し、2024年10月に公開している。
これまで、Scope3のうちカテゴリ1(購入した製品・サービス)については、二次データを用いた推計が一般的であったが、プレハブ建築協会では、サプライヤーエンゲージメントも取り入れながら、一次データを用いたScope3算定の精緻化と削減に取り組んでいる。
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