第9回「将来の電力需給シナリオに関する検討会」において、日本の2040年および2050年の電力需給シナリオが公表された。
エネルギーにおいて「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合)は最も基本的な原則であり、AI化の進展に伴う電力需要の増加が想定される今、とりわけ安定供給の確保が重視されている。
このため、事業者の計画的な電源開発等を促すため、電力広域的運営推進機関は「将来の電力需給シナリオに関する検討会」において、長期的な電力需給のあり得るシナリオについて検討を行ってきた。
検討会の第9回会合では、2040年・2050年の電力需給バランスの試算結果が示され、特定のモデルシナリオでは、2050年の夏季夜間には最大8,300万kWが不足することが明らかとなった。
8,300万kWも不足と聞けばセンセーショナルだが、この数値がどのような前提条件を置いて算出されたものか、順に確認していきたい。
遠い将来の電力需要を見通すことには、大きな不確実性が伴う。広域機関検討会では、モデル分析を専門的な技術検討会社に委託しており、例えばAIを支えるデータセンターの2050年時点の電力需要は、110億kWhから1,980億kWhの幅をもった複数の見通しが示されている。
事務局では、技術検討会社による想定値をベースに、一定の蓋然性を考慮し統計的処理を行うことにより、2040年では9,000億・11,000億kWhの2ケース、2050年では9,500億〜12,500億kWhの4つのモデルケースを設定した。
なお、個別分野の電力需要想定については、別記事「2050年の電力需給バランスはどうなるのか? シナリオ別の試算結果が公表」や「2050年の電力需要の想定 電化や省エネはどの程度進むか?」を参照願いたい。
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