2040・2050年の電力需給の見通しは? シナリオ別の試算結果が公表第9回「将来の電力需給シナリオに関する検討会」(2/5 ページ)

» 2025年05月30日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

2040年・2050年における再エネ・原子力の供給力想定

 事務局が委託する地球環境産業技術研究機構(RITE)やデロイトトーマツコンサルティングといった技術検討会社では、モデル分析において、原則2050年カーボンニュートラル達成を前提条件としている。

 RITEやデロイトは、再エネ電源種ごとに2040年・2050年の導入量を試算しており、それらを検討会事務局が合算したものが図3である(表内数値の単位は万kW)。事務局では、電力需要と再エネ導入量に相関関係があると仮定し、2040年モデルケースでは、需要9,000億kWhに対して再エネ15,000万kW(1.5億kW)、需要11,000億kWhに対して再エネ22,500万kW(2.25億kW)のようなかたちで想定幅を置いている。つまり、再エネ供給力(需要地併設型太陽光を含む)についても、2040年では2ケース、2050年では4ケース(1.7億kW、2.0億kW、2.3億kW、2.6億kW)を設定している。

図3.再エネ供給力(需要地併設型太陽光を含む)モデルケース 出典:将来の電力需給シナリオ検討会

 再エネのうち、太陽光が最大の比率を占めており、2050年には1.2〜1.8億kWと想定している。他方、太陽光発電協会は独自に2030年1.25億kW、2035年1.73億kW、2050年4億kWという導入見通しを公表しており、大きなギャップが生じている。これは、検討会事務局では、地域共生制約による近年の低い導入ペースを反映した保守的な数値としているためである。

 原子力では異なる考え方を取っており、2040年では需要(kWh)の20%を賄う設備量として2,700万kW・3,300万kW、2050年では60年運転(リプレースなし)の2,300万kW、60年運転(リプレースあり)の3,700万kWの2ケースを想定している。

図4.原子力の供給力想定値 出典:将来の電力需給シナリオ検討会

 なお系統用蓄電池については、2040年に800万kW・1,000万kWの2ケース、2050年に1,000万〜1,300kWの4ケース、需要地併設型蓄電池については、2040年に800万kWの1ケース、2050年に1,100万kWの1ケースを設定している。

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