ここまで見てきたとおり、グリーン製品完成品へのB to C需要が不透明であることが、いずれの市場タイプにおいても共通の課題であり、まずは政府・企業・消費者における最終需要の喚起が重要である。
このため、これまでのB to G/B to B市場での需要創出施策と並び、今後はB to C市場においても、"届ける"(環境価値の評価・伝達、グリーン製品の提供)・"選ぶ"(環境価値の理解・さまざまな付加価値を組み合わせた購買行動の喚起)を通じて、市場をより直接的・積極的に創出するための施策を、政府として拡充すべきとした。
グリーン製品に対する需要喚起、またその前提となる環境価値の伝達手段として、グリーン製品・サービスの評価・表示スキームを開始する。企業は、一定のグリーン製品を国のデータベースに登録し、国はそのグリーン製品リストを公開する仕組みである。
グリーン製品の買い手には、国や自治体も含まれるため、本スキームで評価されるグリーン製品は、政府調達や各種政策支援等における要件とすることも想定される。
なお、ここまで「グリーン製品(サービスを含む)」という用語を使ってきたが、今後、その名称や定義・範囲、脱炭素の取り組みや排出削減価値の評価方法、検証の必要性、表示の際の留意点、登録する情報項目等の論点について、別の検討会において今年度中に議論を開始する予定としている。
この新たなスキームでは、統一的なグリーン製品の評価・表示の在り方を整理することで、消費者・企業双方の分かりやすさを実現することを第一の目的とするが、本登録を通じて、国は上市されているグリーン製品の実態及びグリーン製品の目指す水準を適切に把握することにより、着実な脱炭素実現につなげることを目指している。
また本スキームでは、登録されたグリーン製品の1次データ(排出量・排出係数)の収集・蓄積・公開も進める。
これにより、個々の取引先との1次データのやり取りが省略・効率化されるほか、現時点、2次データベース(共通の一般的な排出係数)が未整備である分野について、本スキームデータの平均値等が活用できるようになると期待される。
グリーン製品のCO2排出量は、既存のCFP(カーボンフットプリント)の仕組みを用いて算定・表示することが想定されるが、現時点、CFPが算定・表示された製品はごく限定的である。
このため、CFP算定・表示の普及に向け、算定支援機関の奨励、相談窓口の設置、CFP講師の育成・派遣事業を実施する。
なお、これまでも経済産業省・環境省は、「カーボンフットプリント ガイドライン」や「CFP実践ガイド」を作成・公表し、「CFP表示ガイド」に基づくCFPの表示を促進している。
消費者に対する効果的な訴求方法等を明らかにするため、B to C企業主体でグリーン製品(完成品)の企画立案・販売の実証を行い、将来的な横展開を目指すものである。
これまでも同様のモデル実証は複数行ってきたと思われるが、今回、グリーン鉄やグリーンケミカル等の、それ自体ではユーザーに直接的な便益をもたらさないGX製品の価値訴求方法を明らかにすることが期待される。
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