ベンチマークにおける基準活動量や、グランドファザリングにおける基準排出量を単純な3カ年度平均とする場合、当該期間に事業所が新設・廃止される場合や、災害や法令に基づく定期検査などの他律的な事情によって設備稼働率が低下する場合、もし何の調整も行わなければ、排出枠の割当量が過小/過大となるおそれがある。
このため、公平な割り当ての観点から、これらの場合の基準排出量・活動量の取り扱いについて定めることとした。
まず、基準期間中に新設された事業所については、図3のように、新設の翌年度以降の平均値を基準とする方法(左図)と、基準期間の最終年度(3年度目)に新設された事業所については、新設日以降の日割りの排出量×365として基準活動量・排出量を算出する方法(右図)の2案が事務局から示された。
ただし、設備等が定格運転に到達するには一定の期間を要すると考えられるため、「新設」の定義の在り方も含め、「基準」と呼ぶに値する活動量・排出量をより正確に把握する方法について、さらなる検討が求められる。
これとは逆に、基準期間中に廃止された事業所については、基準活動量・排出量の算定対象から除外する。
基準期間中の災害により、事業を一時的に休止・低操業していた事業者に対して、単純に活動量・排出量を平均する場合、本来あるべき水準と比べて算定が過小になり、復興の妨げとなるおそれがある。
このため、特定非常災害法や激甚災害法の指定、災害救助法の適用を受けた地域に所在する事業所については、指定期間内に属する年度の活動量・排出量実績を用いずに、前年度と同じであると見なして、基準活動量・排出量の3カ年度平均を算出することを認めることとする。
また、法令に基づく保安検査対応による活動量・排出量の減少についても、同様の調整措置が必要である。例えば、高圧ガス保安法に基づく保安検査に伴い設備の稼働を停止した事業所については、検査が完了した月以前の5か月間を除く期間の稼働実績に基づいて活動量・排出量の平均値を算出することを認める。
今後、他の法令に基づき、保安上の理由により設備の稼働停止を行った場合の扱いについても検討を行う予定としている。
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