日東紡と東北大学 多元物質科学研究所 岡弘樹准教授らによる共同研究チームは、親水性ポリアミンに、電荷貯蔵を担うp-ジヒドロキシベンゼンを導入することで、電解質が水溶液である水系電池の電極材料に活用できること発見したと発表した。
日東紡と東北大学 多元物質科学研究所 岡弘樹准教授らによる共同研究チームは2025年8月26日、親水性ポリアミンに、電荷貯蔵を担うp-ジヒドロキシベンゼンを導入することで、電解質が水溶液である水系電池の電極材料に活用できること発見したと発表した。この手法により、リサイクルが簡単な水系電池の開発が可能になるとしている。
近年、発火の危険がなく、環境負荷が低いなどの理由から、電解液に水溶液を用いる水系電池が注目されている。しかし、一般的な金属電極を用いた水系電池では、充放電に伴い電極表面に針状結晶が形成され、短絡による容量の低下を招くことが課題となっている。その解決案として、針状結晶が生じない有機電極を利用し、性能を向上させる研究が報告されてきた。
一方で、有機電極の材料として有望な有機レドックス高分子は疎水性であることが多く、水系電池に応用するためには、これらに親水性を付与する必要がある。また、プラスチック汚染の深刻化に伴い、高分子材料には、十分な性能を発揮するだけでなく、使用後に分解できることが求められている。しかし、多くの有機レドックス高分子は、非常に強固な構造を持つため、分解には高温処理などの大量のエネルギーが必要になるという課題があった。
こうした課題に対し、共同研究チームは、水に溶かすとプラス電荷を帯びることで高い親水性を示すポリアミンに、簡便な縮合反応を用いて、高い電荷貯蔵能を持つ p-ジヒドロキシベンゼンを導入。これにより、高い親水性を維持したまま、水系電池の電極材料として常温(25℃)で活用できる有機レドックス高分子を開発した。
また、同高分子が、100℃以下の温和な条件で原料に分解できることも実証。今回の研究により、リサイクルの簡単な水系電池の開発につながることが期待されるとしている。
再エネ時代の巨大バッテリー「揚水発電」の現在地――東芝が進めるAI活用と事業展望
ペロブスカイト太陽電池の最前線 製品化で先行する中国企業が大型モジュールを披露
いまさら聞けない「ペロブスカイト太陽電池」の基礎知識と政策動向Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10