太陽光・風力といった変動性再エネ電源(VRE)は限界費用が0であるため、メリットオーダーでは最も後ろの順位(長期固定電源を除く)で出力制御されることとなる。
基幹系統の多くは火力や調整電源等による潮流が支配的であるため、表4のように、2030年時点において大半のエリアでは、VREの出力制御に至るような系統混雑は確認されなかった。他方、VRE等の再エネ電源による潮流が支配的なローカル系統や一部の基幹系統では、出力制御はノンファーム型接続のVREにまで至る試算結果となった。
表4の緑枠内のように、系統制約によるVREの出力制御電力量は全国合計で約2.8億kWhであるが、需給バランス制約によるVREの出力制御電力量の約20億kWh(2025年度・全国合計)と比べると、当面は一桁小さい水準との見通しである。
将来の供給力・調整力への影響把握の観点から、広域機関事務局では、夏季および冬季の昼間帯・点灯帯で系統混雑あるいは空容量が100万kW未満となる基幹系統を、一般送配電事業者の協力を得て調査した。
表5のように、複数のエリアで夏季・冬季昼間帯を中心に、混雑(又は空容量が僅かな)系統があるものの、再給電方式により混雑が解消できることが確認された。
一般送配電事業者各社はこれまでも、混雑が見込まれる系統図や混雑設備ごとの最大出力制御電力・出力制御量・出力制御率等を公表してきたが、今後も図5のようなかたちで、系統混雑の中長期見通しに関する情報を公表することとした。これにより、発電事業者等は、自らが連系している(あるいは連系予定の)送配電設備の混雑や出力制御率の見通しを把握することが可能となり、電源立地の適切な選定に活用すると期待される。
広域機関では、今回シミュレーションした2030年度の系統混雑に伴う出力制御見通しを踏まえ、当該系統混雑が供給信頼度へ与える影響や容量市場における混雑系統の電源の扱い、需給調整市場における調整力確保の在り方等について、国の審議会等と連携し検討を進めていく予定としている。
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