「GX戦略地域制度」の企業投資向け支援 補助金等を脱炭素電源地域への貢献度で調整へ「GX産業構造実現に向けたGX産業立地WG」(1/4 ページ)

データセンターの急増など電力分野への影響の大きい経済活動の変化が進む中、政府は脱炭素化と経済成長の両立を目指して「GX戦略地域制度」を創設する方針を掲げている。こほのど同制度における各種の規制・制度改革と支援策の方針が公開された。

» 2025年10月24日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2025年2月に策定された「GX2040ビジョン」では、脱炭素化と経済成長の両立を実現するGX産業が、今後の日本経済の牽引(けんいん)役として期待されている。またDXによる産業構造の高度化に不可欠なAI向けのデータセンター(DC)等の新増設により、電力需要の増加が見込まれる。他方、脱炭素電力や水素・アンモニア等の脱炭素燃料の供給拠点は地域偏在性があるため、「エネルギー供給に合わせた需要の集積」という発想が必要とされている。地域に裨益(ひえき)する脱炭素エネルギーの利用を前提とした新たな産業立地を整備することは、地方創生においても重要なテーマである。

 このようなGX産業立地政策を具体化するため、内閣官房GX実行推進室の「GX産業構造実現に向けたGX産業立地ワーキンググループ(WG)」において、「GX戦略地域制度」の創設について検討が行われてきた。GX戦略地域は、「コンビナート等再生型」「DC集積型」「脱炭素電源活用型(GX産業団地)」の3つの類型に整理されており、国家戦略特区とも連携しながら、規制・制度改革と支援策を一体で措置するものである。

「GX戦略地域」の類型 出典:GX産業立地WG

コンビナート等の再生・GX新事業創出

 近年の国内外の環境変化に伴い、石油化学コンビナートや鉄鋼高炉、製油所等(広義のコンビナート)において生産体制の見直しが進められているが、多額の撤去費用が必要となるため、手付かずとなっている跡地も多いとされる。

 他方、GX新産業を担うスタートアップ企業等は、事業規模拡大のための用地確保が難しく、電気・ガス・水・道路等の産業インフラが整備されたコンビナートを有効活用することにより、二重投資を避けるともにスピーディな事業化が期待される。

図2.コンビナート等の動向・転換コスト 出典:GX産業立地WG

 GX新産業用地としてのポテンシャルを持つコンビナートであるが、成り行き任せでは産業用途に活用されず貴重な資源が散逸することも懸念される。コンビナート等をGX産業拠点として有効活用し、国際競争力あるGX関連産業を創出するためには、さまざまな取り組みを総合的に実施していくことが必要と考えられる。

 既存用地や設備の活用のためには、設備撤去等への支援策や産業の電化に対応した送電設備の増強等が求められる。また、GX新事業を担う事業者に対する各種支援策を用いて、国内外からの企業誘致・投資の呼び込みについても検討を行う。

図3.「コンビナート等再生型」の支援策 出典:GX産業立地WG

 「コンビナート等再生型」の選定については、自治体等の強いコミットを前提として「有望地域」を選定し、国も伴走しながら事業計画を洗練させ、世界で勝てる拠点形成につながる地域を「GX戦略地域」として正式に認定し、具体的な支援を行うこととしている。

表1.「コンビナート等再生型」の選定要件 出典:GX実行会議
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