日本では輸入LNGの大半を、ガス火力発電用燃料(年間3,700万トン程度)及び都市ガス原料(年間2,500万トン程度)として使用している。発電用は夏・冬に、都市ガス用は冬に需要が増える傾向がある。
資源エネルギー庁では、これまでも大手電力会社が使用する発電用LNGの在庫状況(週末在庫)についてモニタリングを実施し公表しており、3月22日時点の在庫は、過去5年平均を上回る水準となっている。
また、ガス事業生産動態統計によれば、ガス事業者のLNG在庫は、過去5年平均と概ね同水準で推移しており、ガス事業者へのヒアリングによれば、2026年3月中旬時点では、安定した在庫水準を確保している。
よって現時点、電力・ガス会社は合計400万トン程度のLNG在庫を保有しているが、原油と異なり、−162℃の極低温の維持が必要なLNGは長期備蓄できないことに留意が必要である。
原油価格($/バレル)は3月25日時点では、米国市場の指標価格であるWTIが$90.32(イラン攻撃前比較:+$23.30、+34.8%)、欧州市場の指標価格であるブレントが$102.22(イラン攻撃前比較:+$29.74、+41.0%)へと上昇し、2022年のウクライナ危機の価格水準に近づきつつある。
また、アジアのLNGスポット取引価格指標であるJKMは、2月27日時点の$11.06/mmBtuから3月25日時点では$18.02/mmBtuへと上昇したが、ウクライナ危機の頃と比べると低位に推移している。
日本において石油の主な用途は、ガソリン等の車両燃料やナフサ等の化学原料である。2024年度の日本の電源構成(発電電力量構成比)は、石炭が約29%、天然ガス(LNG)が約32%、石油等が約7%であり、火力が約7割を占めている。石油火力発電の主な燃料はC重油であり、図6の「石油等」には石油以外の副生ガス等も含まれるため、石油は3%程度を占めると報告されている。
一般的に石油火力の発電コストは他の電源と比べて高いため、高需要期である夏・冬を中心にピーク電源として稼働しているが、離島では主力電源として活用されるケースも多い。ガス火力も石油火力ほど極端ではないものの、高需要期である夏・冬の利用率が高いミドル電源である。
JEPXスポット市場は通常、マージナル電源の入札価格で約定するが、高コストな石油火力やLNG火力がマージナル電源となることが一般的である。このため、JEPXスポット市場価格は原油価格やLNG価格の上昇を反映し、やや上昇傾向にあるが、3月は軽負荷期であるという要因もあり、ウクライナ危機が発生した冬季と比べると低位に推移している。
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