2014年1月に米ラスベガスで開催された世界最大の国際家電展示会CES(Consumer Electronics Show/コンシューマ・エレクトロニクス・ショウ)には、身に着けて使う情報デバイスが多数出展され、注目を集めていた。
スマートウォッチ、スマートグラスと並んで目立っていたのが、運動量や心拍数、睡眠状態などを測定/管理できるアクティブトレッカーと呼ばれるデバイス群だ。
米国は健康に対する個人の関心が高く、CESでは4、5年ほど前から健康関連機器を扱うデジタルヘルスという製品ジャンルが立ち上がった。当初、この分野は、医師が持病を持つ患者の体調を遠隔から監視したり、患者に指示を出したりといった医療用途の製品が中心となっていた。しかし、FuelBand(Nike)やfitbitのように、身に着けて手軽に健康を管理できるヒット商品が登場して以来、状況が一変。メジャーなスポーツブランドや家電メーカーが相次いで参入するなど、市場が活性化し始めた。CESでも、ホール内にデジタルフィットネス専用エリアが設けられるなど盛況だった。
最もよく見かけたのはリストバンド型で、次いで多いのがシャツの襟やパンツのポケットにはさむクリップ型。頭に巻くヘッドバンド型やワイヤレスイヤフォン型は、ランニングや睡眠のモニタリング用デバイスに多い。
「TAO WELLSHELL」(TAO Wellness)のように、手で挟んだり足の上に乗せて押したりして使う、センサーそのものがコンパクトなフィットネス機器になるデバイスも登場。このデバイスには環境センサーも搭載されており、将来は気温や湿度に合った運動量や食事の内容をアドバイスするサービスも提供するという。
ウェアラブルデバイスの普及に伴い、利用者に使い続けてもらうための仕組みも重視されるようになった。デバイスを通じて集めた運動量や心拍数を、いかにスマホからチェックしやすくするかに始まり、仲間とゲーム感覚で競いあったり、植物を育てたりといったソーシャルな要素を取り入れるサービスも登場している。
また、ランニングのペースや体調に合わせた音楽を自動で選曲するアプリ、人気のインストラクターがリアルタイムでトレーニングをアドバイスするアプリなども人気を博しており、よりパーソナルなサービスを提供するコンテンツベンダーにもビジネスチャンスが広がっている。
モニタリング機器の用途が多様化しているのも2014年のトレンドだ。体のパーツごとの筋肉量を測定できるウエイトトレーニング専用のセンサーや、バスケットボールのシュートをアドバイスする専用セット、激しい運動が伴う競技の最中に選手の体調を管理し、体力の維持を効率化するモニターマシンなど、まるでスポーツマンガに出てきそうなアイデアが製品化され、テスト販売が始まっている。
こうした製品群の登場は、センサー技術の高度化によるものだ。スキーの板やサーフボードに取り着けるものから靴の中敷きタイプのものまで、さまざまな利用シーンを想定したセンサーが続々と登場している。
ウェアラブルデバイスを通じて収集され、分析されたデータは、今後どのような形で人々に還元されるのだろうか。筆者は家電を通じてフィードバックされると予想している。
例えば体調に合わせて空調をコントロールしたり、レシピを提供したり、照明の色を変えたり――といった、現時点では個々に発表されている技術がスマート家電に統合され、2015年には大手メーカーから一斉に登場するかもしれない。SF映画に出てくるようなおもしろい製品の登場に期待したい。
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