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4〜6月期の世界PDA出荷、無線モデルの好調で32%増――Gartner調査

» 2005年08月03日 14時47分 公開
[IDG Japan]
IDG

 通信機能がないPDAの出荷は急速に落ち込んでいるが、無線通信対応のPDAは企業ユーザーの間でも、有名人のまねをする流行に敏感な消費者の間でも全タイプが大ヒットしている。Gartnerが8月2日に発表した調査で明らかにした。

 4〜6月期の世界PDA出荷は360万台と前年同期に比べ32%増加したと、Gartnerの主席アナリスト、トッド・コート氏は述べている。IDCの先週発表の調査でPDA出荷が急減したと報告されたのとは著しく対照的だが、両社は市場のとらえ方が非常に異なっている。

 Gartnerは発表資料の中で、PDAを「重さが1ポンド未満で主に両手で使うように設計されたデータ指向のハンドヘルドコンピュータ」と定義している。この定義にはPalmの「Treo 650」やResearch in Motion(RIM)の「BlackBerry 7100」のようなデバイスは含まれず、これらはGartnerの観点ではスマートフォンだとコート氏は語る。

 一方、IDCは、PCと同期されるが電話機能がないポケットサイズのデバイスをPDAと呼んでいる。携帯電話が高機能化し、カレンダーや連絡先データベースなどPDAの従来機能の多くを搭載していることを背景に、こうしたデバイスの出荷は減少していると、GartnerとIDCはともに指摘している。

 Gartnerの調査によると、こうした流れの中で、4〜6月期にはRIMが世界市場でPalmを上回る84万台を出荷して首位を占めた。RIMのBlackBerryは、企業ユーザーが社内ネットワークに保存された電子メールを無線で送受信できるデバイスだ。BlackBerry 7100などBlackBerryの新モデルの一部は音声機能も備えているが、ほとんどの人はBlackBerryをデータ指向のデバイスと考えており、音声通話のために携帯電話も一緒に持ち歩いている、とコート氏は語る。

 Palmは通信機能がないPDAからTreo 650などスマートフォンの製造にシフトしており、転換期にある。GartnerはTreoの出荷台数を調査に含めていないが、2006年にはPalmのTreoの出荷台数はPDAを超えるだろうとコート氏は語る。4〜6月期のPalmのPDA出荷は30%減少して64万2020台となったが、Hewlett-Packard(HP)の45万513台を上回った。

 Nokiaは「9300」「9500」デバイスへの旺盛な需要に支えられ、Gartnerの調査でこれら3社に次ぐ4位につけたとコート氏は語る。NokiaはWebページで9300をスマートフォンと呼んでいるが、9300は折りたたみ型で、開いたときには両手で電子メールデバイスとして使える。9500も同様の設計だ。

 また、Nokiaは欧州でPDA需要急増の恩恵を享受したとコート氏は語る。PDAベンダー全体の欧州での出荷は前年同期比で94%伸びたが、これに対して米国での出荷はわずか1.3%増にとどまった。有利な為替レートに加え、MicrosoftのWindows CEベースの低価格PDAを出荷するベンダーが増えたことが、欧州での出荷を押し上げたとコート氏は説明する。

 T-Mobile InternationalはDellを抜いて5位に食い込んだ。T-Mobileの欧州での強力な地盤が順位の上昇に貢献したが、米国で同社の「Sidekick II」の出荷が伸びたことも同社にプラスに働いた。この出荷増は、ホテルチェーンの後継者パリス・ヒルトン嬢のSidekick IIのボイスメールアカウントがクラッキングされ、彼女のメールメッセージがインターネットに流出したことがきっかけだった(2月21日の記事参照)。

 このセキュリティ侵害についてT-Mobileユーザーからはプライバシーを懸念する声が上がったが、この事件は、マイナスのニュースで注目されることのメリットに関する昔からの定説を証明したとコート氏は語る。

 「パリス・ヒルトン嬢の事件は、何も話題にならないよりは悪いニュースで話題になった方が良い、というケースに当てはまりそうだ」と同氏。「この事件のおかげで、何百万ドル掛けてもできないような形で知名度が上がったのだから」

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