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» 2007年01月19日 00時23分 UPDATE

シゴトハック研究所:自分にとってしっくり来るハックを見つけるには?【解決編】

この半年間で、数々のシゴトに役立つハックを紹介してきました。しかし、誰かが実践している方法が、自分にとっても同じような効果を発揮するとは限りません。

[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 自分にとってしっくり来るハックを見つけるには?

 コツ:自分の手足を使って確かめてみる


 【問題編】でマサヨシ課長が提案した通り、昨年のシゴトハックを振り返ってみます。

タイトル コツ
一日に決めた予定がこなしきれない 大きな仕事を小さな仕事に分解し、グループ分けをする
机の上が常に書類や文房具やガジェット類で散らかっていて困る 席に着くたびに1つ、席を立つたびにまた1つ片付ける
日々のタスクはどこまで細かく書き出すべき? タスクを「目に見える成果物」を作る作業に変換する
時間の見積もりがうまくできなくて困る 決められたフォーマットに沿って作業記録を付ける
使途不明時間が多くて困る 時間の“在庫”を正確に把握する
ルーチンワークが溜まって困る 最適頻度を見極める
仕事が思うようにはかどらない日があって困る やり方を変えてみる
メールが溜まりまくって困る メールソフトを使い分ける
メモをどこに保存するか決められなくて困る 検索しやすい場所1カ所に集める
大量のメモをうまく整理できなくて困る(1) マップ形式で整理する
大量のメモをうまく整理できなくて困る(2) マップ形式での整理を実践する
オンラインツールとローカルツールの使い分けで困る 複数人での「シェア」の有無で判断する
同時進行するタスクの“迎撃体制” タスクの性質に合わせて最適な時間帯に固める
作業を中断させない「長篠メソッド」 常に頭の中をカラにしておく
「マイ締め切り」で間際のバタバタをなくす 「マイ締め切り」を設定する
「先送り繰り返し症候群」根絶法 毎日「昨日よりもほんのわずかでも仕事が進んだ状態」を作る
前倒し仕事術(1)──「嵐の前の静けさ」を合図に 今の時点でも打てる手があれば打ってしまう
前倒し仕事術(2)──「五条大橋の戦い」に学ぶ 自分にとって有利な状況に持ち込む
未来の自分へメッセージ──孫子の兵法に学ぶ「やる気」メソッド 自分を出し抜く
劉邦に学ぶ時間の“補給路”確保戦術 いかなる場合でも“時間補給路”を確保しておく
一人でできないことは同志を募って始めてみる 同志を募って始めてみる
アイデアは仲間と一緒に考える Wikiを活用する
実践! 一人で思い浮かばないアイデアは同志を募って集める Wikiと連動した定期ミーティングを開催する
メンバーのやる気とタスクを一元管理する プロジェクトのタスク管理と情報交換をWikiで行う
Wikiを使ってプロジェクトの進捗管理 Wikiをプロジェクトのタスクリストにする

 以上、全部で25本ありますが(理論編または解決編のみ)、それぞれの回で「コツ」として掲げている内容をまとめてみると、以下のようなポイントが浮かび上がります。

  • 現実世界の「仕組み」を目の前の仕事に当てはめてみる
  • それまでの考え方、捉え方をシフトする
  • 既存の物同士を組み合わせる

 さらに、この3つを1つに凝縮するとすれば、

  • 複雑な課題をシンプルな形に変換する

 ということになるでしょう。では、なぜ「シンプルな形」を指向するのでしょうか?

「シンプルな形」がもたらすもの

 電気や燃料など動力源さえあれば、決められた通りに動き続けることができる機械と違い、私たち人間は、動力源である食事や睡眠などが十分に摂れていても、決められた通りに動き続けられるとは限りません。

 そこには、機械には持ち得ない「好き嫌い」や「気まぐれ」といった不確定要因があるためだと考えられます。一方、人間には、機械には決して真似のできない「寝食を忘れて没頭する」という特殊能力があります。人間にとっての動力源は、食事や睡眠もさることながら、ここ一番で「やる気」を出すことができるかどうかに左右されやすいといえるわけです。

 例えば、「一日に決めた予定がこなしきれない」でご紹介した、「大きな仕事を小さな仕事に分解し、グループ分けをする」というコツは、すぐに手をつけられるくらいの小さな仕事に分解することによって、「これくらいならすぐにできる!」というやる気を呼び起こす効果を狙ったものです。

 これは、例えばステーキを食べるときに、ナイフとフォークを使って一口分のサイズに切り分けて口に運ぶというプロセスを真似たものだといえます。この程度の「当てはめ」であれば、ステーキの事例を持ち出すまでもなく思いつくことができるかもしれませんが、問題が複雑になってくると、当てはめにくくなります。

 それゆえ、直面している問題をシンプルな形に変換して「骨組み」を露わにすることで、身の回りにあるありふれた「仕組み」との類似点が浮かび上がりやすくなり、そこから解決のためのヒントが得られるようになるわけです。

 あるいは、「使途不明時間が多くて困る」における「時間の“在庫”を正確に把握する」というコツは、「時間」を倉庫にある在庫(物)になぞらえることで、時間を物のように管理する方法を目指しています。

 これは、同時に、時間に対する考え方をシフトさせていることにもなるでしょう。そして、従来は接点のなかった「使途不明時間」と「在庫管理」という2つの概念同士を組み合わせている、ともいえます。

 「やる気を出そう!」と思っても、そのための具体的な方法がわからなければ、やる気は出てこないのです。

自分の手足を使って確かめてみる

 先ほど、人間には「好き嫌い」や「気まぐれ」がある、と書きましたが、このことは「やる気」にも大いに影響します。例えば、周囲がざわざわしている方が集中しやすい、という人もいれば、ちょっとでも雑音があると気が散ってしまう、という人もいるでしょう。メーラーやWebブラウザにしても、「使いやすさ」は個人のクセや好みに大きく左右されるために、誰にとっても使いやすい、というツールは実現困難です。

 つまり、誰かが実践している方法が、自分にとっても同じような効果を発揮するとは限らないわけです。

 とはいえ、その方法を自分なりにアレンジすることで、その方法が持つ“効能”を生かしたままで、自分にとって扱いやすいものに変えることはできるでしょう。そういう意味では、“カスタマイズ”の余地がない方法はあまり好ましくない、ともいえます。

 例えば、WebブラウザのFirefoxなど最近のアプリケーションは、本体には基本的な機能のみを搭載し、追加機能は好みに応じて追加できるようになっていますが、これは「アレンジのしやすい状況」の1つです。

 仕事においても、1つの方法にこだわるのではなく、カスタマイズを試みることで、より「しっくりくる」方法が見つかったり、面倒だと思いつつ仕方なく続けていたことがラクに片付けられるようになるなど、「やる気」を呼び起こすことができるでしょう。

 世の中の「方法」をそのまま採り入れるのではなく、自分なりに分解したり組み合わせたりすることが「自分にとってしっくり来るハック」への近道と言えるわけです。

 ただし、アレンジをし過ぎることによる弊害もあります。これについては、次回詳しくご紹介します。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)がある。


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