ビジネスがうまく行かない時、真っ先にすべき行動は?セルフイメージで人生を変える(2/2 ページ)

» 2008年12月25日 10時30分 公開
[平本あきお(構成:房野麻子),ITmedia]
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行動を決めるのは、ノリでなく優先順位

 セルフイメージから変えていくこともできるし、信念も変えられるし、価値観の順番を変えることもできます。

 例えば、成功したいという時に避けたい価値観が「拒絶」だとしたら、「拒絶」よりも「みじめさ」を上位に持ってきます。こうすると、拒絶されるのは嫌だけれど、何もせずにいたら後でみじめになる。「みじめになるくらいだったら、拒絶される方がまだましだ」となりますね。

 「成功する」が1番、「家族」が2番の人で、成功するためにバンバン仕事をしていたら、家族が家を出ていったという人もいます。そういう場合は、家族との時間を1番にして、成功を2番にします。ある経営者は、どんなに忙しくしても何があっても、土日は絶対仕事の予定を入れないと決め、家族との時間にしています。その代わり平日はものすごく仕事をする。家族を1番にすると、そういうふうにできますね。

 価値観を書き出して、「この順番でいきたい」というのがはっきりすれば、優先順位は変えることができます。順番が決まったら、最初のうちは毎日それを見ながら行動を判断します。例えば、家族と会食に行くか、会社のミーティングに行くか、友達との飲み会に行くかを判断する時に、決めた優先順位に沿って選びます。「つながり」が1番、「成功」が2番、「家族」が3番という順番だったら、友達との飲み会を優先しますね。「そうした方がいい」という納得感があるからできます。

 今までは、行っておかないと損だとか、今回こそ行かないと女房に怒られるとか、その場のノリで決めて、後で「やっちゃった……」と思っていたんですね。でも、優先順位を決めて、それに沿えば、自分が決めた順番なので納得できます。でもこれは、期間限定の順位です。一生、この順番ではありません。

 このように、セルフイメージ、信念、価値観の3つで自分が形成されています。この3つをうまく一致させていかないと、どんなに目標設定をしても、時間を管理しても、ワークライフバランスを取っても、計画しても、行動しても、矛盾したままでうまくいかないことがあるのです。

 最後に、格闘家の石井慧さんのセルフイメージについて紹介しましょう。

 石井選手は、小学生のころから「世界一」というセルフイメージを持っています。世界一と紙に書いていたそうです。それを見たお父さんが「なんで日本一じゃないんだ?」と聞いた時に、「世界一になりたいから」と答えたそうです。価値観は何かというと、「世界一強くなりたい」です。「60億分の1になりたい」「地球で一番強い人間になりたい」は価値観です。

 そして「誰よりも練習しないとダメだ」という信念を持っています。練習しないと満たされないので、すごい練習をします。このように、石井選手のセルフイメージ、信念、価値観は、強くなることに向けて一致しています。彼はこれが一致しているので、勝てた。実は、柔道のセンスは、ものすごくある方ではないと言います。もっとセンスのある選手はいます。ただ、3つの要素が矛盾していなかったのです。

「できた」時のイメージを強める

 信念やセルフイメージを変えることを本格的にやろうとすると、セミナーなどに実際に参加する必要がありますが、誌上では簡単にできるものを紹介しましょう。

 まず、「私は○○である」「私は△△ではない」を1度書き出します。「できないことでも何度かやればできるようになる」とか「××ができない人間だ」「権限がない」など、ポジティブなイメージもネガティブなイメージもあるでしょうが、たくさん書き出してください。するとその中に、自分を元気にするセルフイメージがあるはずです。そういったセルフイメージに関しては、実際そうだなと思う過去の事例を、できるだけたくさん挙げてください。「やればできる存在だ」という信念があったとしたら、「あの時もできた」「この時もできた」と、できるだけたくさん、できたと思える事例を挙げていきます。そうすると、そのイメージが強固になっていきます。

 逆に、自分をダメにするセルフイメージは、そうでなかった時を思い出してほしいのです。「自分はイケてない」という信念があったとしたら、例えばパソコンを修理してあげた時に、「○○さんすごい!」と言われたとか、高校時代に格好いいと言われた、というような、ネガティブなセルフイメージを否定するような出来事を思い出してください。

 価値観を変えるには、まず、大事な価値観と避けたい価値観を書き出して、ベスト3くらいまででいいので優先順位を付けます。そして、本当にそれでいいのか、順番を変えた方がいいかを考えます。ただ、この方法ですべてではありません。あくまで一手法です

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本あきお(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は、『すぐやる! すぐやめる!技術 ― 「先延ばし」と「プチ挫折」を100%撃退するメンタルトレーニング』。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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