心理学者でもある著者のフランクルは、ユダヤ人だったためナチスにより強制収容所へ送られた。収容された人々の中で、生きることを放棄した人と希望をもった人では「問い」が違ったという。
『夜と霧』の著者フランクルはフロイトに学んだ著名な心理学者。ユダヤ人だったためナチスにより強制収容所へ送られた。その時の壮絶体験を心理学者の視点でつづった貴重な記録が本著である。
収容された人々の中で、生きることを放棄した人と希望をもった人では「問い」が違ったという。
通常は「自分は生き延びられるか」と考えてしまう。すると「クリスマスまでに家に帰りたい」などと未来に期待してしまい、それが叶わないと即座に絶望してしまう。一方で「なぜ自分はこんな苦しみを味わっているのか」と自らに問いかける人もいる。すると苦労や死すらも人生の大切な一部分と考えられて、日々の出来事に感謝していく。結果として後者の方が生存確率は高かったという。
この本質はビジネスにも当てはまるだろう。「どうすれば成功できるか」とつい考えてしまう。すると何か試して失敗すると、自分は失敗者だと思いこむ。むしろ「成功と言えないこの環境にどんな意味が隠されているか」と自分を突き詰めるのである。今の状況に感謝し続けることが、真の成功への一歩になるのだ。
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
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