参考までに、これまでのいくつかのセミナーコンサル案件でわたしが作った「シンボリック・チャート」の一例をご覧いただきましょう。
「営業」の話のはずなのに、天井からぶら下がったバナナを取るという、まるでお猿さんの知能実験みたいなチャートが出てきました。「な、何じゃこりゃあ」と多くの方が思うことでしょう。
ほかにもあります。
これも営業系のセミナー用に作ったチャートですが、ライオンとかヒグマとかタイガーとか、わけが分かりません。やっぱり「な、何じゃこりゃあ」と多くの方に思われることでしょう。
でも、このどちらのチャートも、それぞれのセミナーのイントロの中で絶大な効果を発揮しました。
なぜこれが効果的だったのか、という話は本稿の範囲を超えるので省略しますが、ストーリーとうまくかみ合うと、こういうわけのわけの分からないチャートが大変な威力を発揮します。ちなみに、後者のチャートについては吉見範一さんの連載記事に詳しく書かれています。
ですので、シンボリック・チャートは自由な発想で考えてください。個条書きも悪くはありませんが、個条書きだけで説明しようとしてどうしてもうまくいかないときは、シンボリック・チャートを考えるために1時間や2時間使う価値はあります。
わたしがセミナーコンサルをしていると、しばしば上記2例のような「奇想天外なシンボリック・チャート」を作るので、依頼者には「一体どこからそんな発想出てくるの? ぶっ飛んでるなあ……」とよく言われますが、なにか変わった発想法を使っているわけではありません。
ただ1つ言えるのは、わたしが見るところ「思考の自主規制をしてしまっている」ケースは相当に多いということです。営業のセミナーだから営業にからめて話をしなければいけないとか、そんな自主規制をしていると、なかなかいいアイデアは出てきません(なお、「いいアイデア」=「ぶっ飛んだ発想」という意味ではありませんので、念のため。ぶっ飛んでなくても「いいアイデア」はたくさんあります)。
自主規制は取っ払ってしまいましょう。そのためにマインドマップを使うもよし、マンダラートやらブレインストーミングも役に立ちます。手法はなんだってかまわないんです。ただ、そこに、
をつぎ込んでください。そのエネルギーがあれば、役に立つチャートができることを期待できますが、そうでなければどんな手法を使っても無駄だとわたしは思っています。
さて、ここまででスタートからゴールまでの話の骨格ができました。残るは「文言の調整」「対話ポイント」「休憩ポイント」の3つです。これらについては改めて次回書くことにしましょう。いずれにしてもあとは細部の調整レベルの話なので、骨格がしっかりしていることが前提です。ですから、まずは本稿で触れた内容、その中でも特に、
ことを意識してください。
IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』、
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