「マスタータスクリスト」は、要するに「そこを見れば、見に行く先の用事までもれなくチェックできるリスト」のこと。このリストをデジタルで運用する際の注意点を考えてみましょう。
「マスタータスクリスト」は、要するに「そこを見れば、見に行く先の用事までもれなくチェックできるリスト」のこと。この役割はこれまでずっと「手帳」が担ってきました。今でも恐らくそうだからこそ、手帳が年末や年度末にはあれほど売れるのでしょう。もちろん手帳でもいいですし、手帳でなければならない人もいるでしょうが「手帳でなくてもかまわない」人は、デジタルツールでマスタータスクリストを運用してみてはいかがでしょうか。
つまり、手帳をiPhoneなどに乗り換えるという意味ですが、その際気をつけるべきことが1つだけあります。それは、先ほどのマスタータスクリストを1つだけにすること。マスタータスクリストは「参照先」を指示し、その「参照先」でタスクをこなし、またマスタータスクリストに戻ってくるところになるわけですから、2つ以上あると混乱します。そういう意味でも「マスター」であるのです。
手帳を使っている人も、これと同じことをやっているはず。なぜなら、現在ほとんどの人はメールなどで仕事の指示を受けますが、紙の手帳ではメールを受信できません。従って、必ず「メールチェック」という仕事があるからです。メールに書かれているタスクをたとえ手帳に書き写しているとしても、チェックしていることには変わりありません。
つまり、手帳を見て仕事内容をチェックし、それから紙の手帳を離れて処理するべきツールに移り、終わったらまた手帳を見返すというサイクルができているはずなのです。手帳は形態として分かりやすいため、これがマスタータスクリストになっているのが現状です。
これを手帳からiPhoneに移行すると、分かりにくくなることがあります。デジタルでは1つのガジェットの中に複数のツールが入っていて、そのどれが「最上位」に来ているのか決まっていませんから、Googleカレンダーをチェックして仕事をし、メールチェックして仕事をし、ToDoリストなどを見て仕事をし……とやっているうちに次にするべきことを忘れた場合「何に戻ればいいのか?」が分かりづらいのです。
だからいつまでもメールチェックを続けてしまって戻れなくなってしまうことがよくあります。すると、仕事から脱線し、そのまま漂流し、時間を浪費するわけです。これを防ぐためには、マスタータスクリストを1つに決めてしまうこと。スケジュール表が仕事の起点だという人はGoogleカレンダーなどにすればいいし、メールが起点だという人はメールソフトにすればいいし、起点となるツールがたくさんある人は「タスクリスト」を別に1つ用意すればいいでしょう。
そして、
というルールだけに従えばいいのです。これが「仕事を回す仕組み」になるでしょう。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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