土肥: お父さんバンクにはどんな得意ワザを登録している人がいるのでしょうか?
義廣: 「子育て支援団体」って聞くと、どこか重くて暗いイメージを持っている人が多いかもしれませんが、お父さんバンクでは「おもしろい得意ワザをどんどん書いてください」と呼びかけたところ、さまざまな人が集まりました。例えば、子どもとずっと遊ぶことができる、英会話を教えることができる、キャンプを一緒に楽しむことができる、きりたんぽ鍋を上手につくることができるなど。多くのお母さんは日曜大工が苦手なので、DIYができるという人に「お助け」の依頼が多いですね。このほかに「よってたかって○○」も人気です。
土肥: よってたかって○○? なんですかそれは。
義廣: 授業参観、運動会、誕生日会などに、お父さんがよってたかって参加しているんです。1人の子どものために、たくさんの大人が参加する。例えば、運動会。シングルマザーやワンオペ育児をしているお母さんは大変なんですよね。1人で参加すると、子どもの写真を撮らなければいけない、動画を撮影しなければいけない、応援をしなければいけない、お弁当をつくらなければいけない、保護者のプログラムに参加しなければいけない。しなければいけないことがたくさんあって、運動会を楽しむことが難しい。
そうした状況のなかで、よってたかって運動会ではどういったことをしたのか。Aさんは写真を撮影する、Bさんは動画を撮影する、Cさんは応援する、Dさんは競技に参加する、といった形で役割を分担しました。昨年の運動会、お母さんは人混みをかきわけて子どもが走っているところを撮影していたそうですが、今年は違う。お父さんが撮ってくれたので、お母さんはこのように言っていました。「自分の子どもが走っている姿を肉眼で見たのは初めて」と。
お弁当を食べるときも、昨年はお母さんと子どもだけで食べていました。ただ、今年はたくさんの大人が集まって、ワイワイ言いながら食べることに。血はつながっていなくても、子どもの走る姿を見るのが好き、運動会のお弁当をみんなで食べるのが好き、という大人は「とても有意義な時間を過ごすことができた」と言っていました。一方の子どもはどうか。最初はとまどう子もいるのですが、時間が経つとそうした状況に慣れて、自分のためにたくさんの大人がいることに対して、「うれしい」「楽しい」と感じているケースが多いですね。
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