ソニー「DFP-WA700」はデジタルフォトフレームにIEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能を搭載した製品。デジタルフォトフレームに無線LANを搭載してNASやホームサーバに保存された写真を見るという製品はバッファロー「PF-50WGシリーズ」や三菱電機「ALBO」、ソニー「VAIO VGF-CP1」などこれまでにもいくつか登場しているが、新製品はFacebookで公開された写真の閲覧にも対応したのが新しい。
DFP-WA700の画面サイズは7型で解像度は800×480ピクセル。内蔵メモリは1Gバイトで、メモリカードスロットはメモリースティックデュオ(PRO/PRO-HG対応)とSDメモリーカード(SDHC対応)をそれぞれ1つ、そしてUSB(A×1、mini-B×1)を用意する。このあたりはデジタルフォトフレームとして一般的といえる仕様だ。
JPEGの画像ファイルのほか、MPEG-1(.mpg)/4(.mp4)、AVCHD(.mp4と.mts)、MotionJPEG(.aviと.mov)の動画ファイルと、MP3(.mp3)/AAC(.m4a)/リニアPCM(.wav)/WMA(.wma)の音楽ファイルを表示できる。姉妹機として用意されているDFP-W700はDFP-WA700から動画再生機能などを省いた製品で、無線LAN関連機能は同一となる。
製品名 | 画面サイズ | 解像度 | 内蔵メモリ | 無線LAN | 動画再生 | 音楽再生 | radiko受信 |
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DFP-WA700 | 7型 | 800×480 | 1GB | ○ | ○ | ○ | ○ |
DFP-W700 | 7型 | 800×480 | 1GB | ○ | × | × | × |
DPF-WA700の液晶はタッチパネル式のため、ボタン類は電源、音量、メニューの3つと最小限。無線LAN対応機器であるが無線のハードウェアスイッチは用意されていない。メニューボタンを押すと、スライドショー画面形式の選択、ソースの選択、設定画面などの項目を呼び出せる。
本製品の大きな特徴であるネットワークを利用した写真閲覧として対応しているのは、以下の4つとなる。
「メール添付された写真の閲覧」という意味では携帯電話キャリアの提供している通信機能付きフォトフレーム、ホームネットワークで共有化された写真の閲覧という意味ではこれまでの無線LAN内蔵フォトフレームと、これまでの同種の機能を備えた製品は登場しているが、この4つを兼ね備えた製品はおそらく本製品が初めてだろう。
無線LANの設定は簡単だ。メニューから「設定」「Wi-Fi設定」と進み、アクセスポイントの選択などをすませればよい。ノートPCやスマートフォンの無線LAN設定をしたことがあるならばマニュアルを見ずにも設定できるだろう。本製品でfacebookに投稿された写真の閲覧をするためには加えて、「ネットワークサービス」からfacebookのログイン設定を行う。本製品上からfacebookのアカウント取得はできないので、あらかじめ取得しておく必要がある。
これだけの設定でfacebookに投稿された写真を閲覧できる。facebookからの画像取得は自動的に行われ(通信中は画面左下の「f」アイコンの左にマークが回転する)、事前設定したスライドショーの秒間隔に応じて写真が表示され続けるが、「f」アイコンを押せば取得した中で最新の画像を表示させることもできる。また、メニューの「ネットワークサービス」に用意されている「今すぐ新着確認」を押せば、任意のタイミングで新着写真のチェックもできる。
メール/facebook/Personal Spaceから取得した写真は自動的にスライドショー表示されるが(いずれか1つ、もしくは2つという選択も可能)、各種メモリカードおよびUSBメモリ、内蔵メモリ、ホームネットワークで共有化された写真と織り交ぜながらのスライドショー表示は行えない。
デジタルフォトフレームとしての機能はシンプルで、画面表示形式の選択(時計や天気予報表示の有無、画像サイズ大小など4パターンから選択)、スライドショー切り替え間隔の選択、(4段階)などが選択できるに過ぎない。同社デジタルフォトフレーム「DFP-XR100/80」のような写真の色合いを変化させる画質モードは搭載していないほか、液晶パネル自体も高コントラスト/高輝度の「TruBlack」ではなく「クリアフォト」であるため、表示画質も一般的な物にとどまっている印象を受ける。
さて、ここからは記事タイトルの通り、DFP-WA700および姉妹機のDFP-W700が「買い」かを考察してみよう。
まずネットワーク対応の高機能型デジタルフォトフレームとしてはどうか。確かにDFP-WA700/W700はメール添付やfacebook、Personal Space、ホームネットワーク対応などさまざまな機能を持つが、対応ネットワークサービスが拡張できないのは痛い。
写真共有のオンラインサービスとしてはこれら以外にもPicasaやflickr、フォト蔵、my Picturetown、quanpなどさまざまなものが利用されているだけに、facebookとPersonal Spaceだけというのはさみしい。それに、ホームネットワークについてもNASやWindows Home Server、それに同社PCシリーズ「VAIO」との連携が考慮されていないのは残念である。2008年に登場した「CP1」に比べると、機能が限定されてしまっている。
ネット上の写真を表示させるという意味では各種タブレット端末も競合相手といえるが、タブレット端末は多機能端末であり、「写真を表示して楽しむ」用途に限れば価格や使い勝手などで専用製品に軍配が上がるだろう。
ただ、「付加価値付きのデジタルフォトフレーム」として考慮すると、DPF-WA700ではなく動画再生機能などを省いたDPF-W700は意外なほどにポイントが高くなる。同社はデジタルフォトフレームを多く用意しており、本製品と近いサイズの液晶パネルを搭載し、内蔵メモリやパネル解像度などのスペックも類似する製品としてはTruBlack液晶搭載の「DPF-X75」やバッテリー内蔵型の「DPF-D830」などを用意しているが、DPF-W700ならばそれら製品と意外なほどに価格差が少ないからだ。
ソニーストアでの販売価格を比べると、DPF-WA700が1万9800円、DPF-W700が1万4800円、DPF-X75が1万4800円、DFP-D830が1万9800円だ。同社の7型液晶搭載モデルには最もスタンダードな「DPF-C70A」も用意されておりこちらは6980円と安価だが、こちらは液晶解像度が低く、内蔵メモリが128Mバイトと少ないので競合とは言いにくいだろう。
ソニー以外にもデジタルフォトフレームを販売しているメーカーは多く、それらメーカーの類似スペック製品と「単純なデジタルフォトフレーム」として比較すると価格面でやや厳しい面があるのも事実であるが、「facebook対応デジタルフォトフレーム」として見れば、DPF-W700は購入の検討に値するアイテムといえる。
→ソニーストアで「DPF-WA700」をチェックする
→ソニーストアで「DPF-W700」をチェックする
メールの写真を自動受信。パソコン内の写真をワイヤレス再生。タッチパネル操作のWi-Fi対応モデル。DPF-WA700ではフルハイビジョン動画ファイルの再生も。
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