ソニー発“ネット世代の写真立て”――Canvas Online「CP1」を試す眠った写真をフル活用(1/3 ページ)

» 2008年05月09日 11時15分 公開
[田中拓也,ITmedia]

デジカメ写真とデジタルフォトフレームのおいしい関係

小型ディスプレイ? 写真立て? それとも……

 ソニーのCanvas Online「CP1」は、新タイプのデジタルフォトフレームだ。といっても、ピンと来ない人が多いかもしれない。まずはデジタルカメラの市場動向とデジタルフォトフレームという製品について説明しておこう。

 インターネットコムとクロス・マーケティングが2007年2月にデジカメ所有者225人を調査したところ、デジカメで撮影した写真を実際に印刷している人は意外に少ないとの結果が出た。頻繁に印刷する人は10.7%、たまに印刷する程度の人は51.1%、ほとんど印刷しない人は27.1%、まったく印刷しない人は11.1%となっており、印刷しない人が4割弱、たまに印刷する程度の人を含めると9割にも達する。同じ調査の結果では、デジカメで撮影したデータの保存場所として59.1%の人がPCのHDDを挙げている(「約6割がデジカメ写真をPCに保存〜デジカメに関する調査」より抜粋 ※調査結果へのリンクはこちら)。

 つまり、リアルなユーザー像としては、撮った写真をPCのHDDにため込んで、ディスプレイで眺めて終わりというケースが多いようだ。最近ではインターネットの写真共有サイトへ投稿している人も増えつつあるが、これらの写真も印刷サービスなどを利用するより、PCなどのブラウザで表示して楽しむというスタイルが一般的だろう。

 だが、それだけではせっかく撮影した写真がHDD内に埋もれていくだけで、もったいない。そこで、デジカメ時代の写真立て「デジタルフォトフレーム」の出番となる。デジタルフォトフレームとは、デジカメや携帯電話などで撮影した写真データを表示するための写真立てだ。

 デジタルフォトフレームは紙焼き写真を飾る従来の写真立てと違って、写真データを読み出すためのメモリカードスロットや、それを表示するための液晶ディスプレイを装備している。複数の写真をスライドショーで再生したり、時計などを写真と一緒に表示できる機能を持ち、デジタルカメラで撮影した写真データを飾って楽しめるのがウリだ。身の回りに写真を飾る文化が浸透しているアメリカでは、新しい製品カテゴリーとして急成長している。

 こうした市場動向を受け、最近ソニーはデジタルフォトフレームのラインアップを急速に充実させている。まずは、3月18日にデジタル一眼レフカメラ「α」シリーズで使用している画像処理エンジンの「BIONZ」を搭載したデジタルフォトフレーム「S-Frame」シリーズを発表、5月7日にはVAIO関連製品となるデジタルフォトフレームのCanvas Online「CP1」を発表した。S-Frameは5月9日、CP1は5月17日に発売される。

3モデルある「S-Frame」シリーズのミドルレンジモデル「DPF-V700」(写真=左)。Canvas Online「CP1」は1モデルでの展開だ(写真=右)。

 ここで1つ気になるのが、αやサイバーショットではなく、VAIOの関連製品(厳密には「Extension Line by VAIO」の製品カテゴリー)として開発されたCP1の存在だ。VAIOはいわずと知れたPCブランドだが、そこから誕生したCP1は、既存のS-Frameをはじめとするデジタルフォトフレームと一体どこが違い、どのような特徴を備えているのだろうか? 今回はCP1の試作機を入手したので、ぱっと見では分からない実力を探ってみたい。

無線LANの搭載で新たな活用法を提案するCP1

 CP1最大の特徴はズバリ、無線LAN機能の搭載にある。一般的なデジタルフォトフレームは、基本的にメモリカードや内蔵メモリの写真データをスライドショーなどで表示するだけの製品が大半で、見たい写真が増えたときはメモリカードを交換する必要がある。

 しかし、CP1ならばメモリカードや内蔵メモリに加えて、PCのHDDや同時発表されたホームサーバのLiblog Station「HS1」に保存された写真データ、さらにはインターネットの写真共有サイトに投稿された写真データまで読み込めるので、メモリカードを交換する手間がいらない。これは非常に大きな違いだ。HDDにたまるいっぽうの写真を個人で鑑賞するのにもよいし、遠く離れて暮らす家族や友人へのギフトとしても喜ばれそうなアイテムといえる。

直販限定のブラックモデル「VGF-CP1/B」

 今回発表されたCP1は、2色のカラーバリエーションを用意している。店頭で販売されるのは今回入手した白いフレームのモデル「VGF-CP1/W」だが、同社直販のソニースタイル限定で色違いのブラックモデル「VGF-CP1/B」が用意されている。フレームにはアクリルパーツが使用され、透明部分がLEDで青く光るギミックを持つ。ソリッド感のあるデザインはS-Frameと同じだが、よりカジュアルに見えるのは、ホワイトのボディを採用し、フレーム部分が細くなっているからだろう。

 液晶ディスプレイは、800×480ドット/約1677万色表示に対応した7インチワイドパネルを搭載。表面に光沢のある「クリアフォト液晶」となっている。また、出力最大1.6ワットのステレオスピーカーを内蔵しており、PCやAV機器のスライドショーのように、音楽を再生しながら写真を楽しめるのもポイントだ。

 対応する写真ファイルはJPEG、BMP、PNG、GIF(最大ファイルサイズは約3Mバイト)、対応する音楽ファイルはMP3、WAVとなっている。本体には写真データ保存用に85Mバイト、音楽データ保存用に15Mバイトのメモリ領域が確保されており、メモリカードなどに保存された写真や音楽のデータを内蔵メモリにコピーすることも可能だ(WAVファイルは内蔵メモリにコピーできない)。

スタンドを含む設置時の本体サイズは177(幅)×103(奥行き)×131(高さ)ミリ、重量は約530グラム。本体の厚さは33ミリで、棒状のスタンドを1本装着して設置するシンプルな設計だ(写真=左)。800×480ドット表示の7インチワイド液晶ディスプレイを搭載している(写真=中央)。本体下部に透明なパーツを配置することで、浮遊感を演出したデザインになっている。背面には各種インタフェースとボタン類が並ぶ(写真=右)

付属のリモコンはシンプルな作りだ

 本体の操作は、付属の赤外線カードリモコンで行える。写真立てにリモコンが付くのはちょっと不思議に思うかもしれないが、多くの機能を備えたCP1では役に立つ。電源のオン/オフや各種メニューの設定、写真表示方法の切り替え、音楽ファイルの再生、音量の調整、ソフトキーボードの入力などを少し離れた場所から手元で行えるのは便利だ。

 ボディの背面には、SDメモリーカード(SDHC対応)、メモリースティック(PRO対応)、メモリースティックデュオ(PROデュオ対応)、CFに対応したメモリカードスロットや、1基のUSBポートを備えている。USBポートには、デジカメやUSBメモリを装着可能だ。すぐそばにはIEEE802.11g/bの無線LANスイッチがあり、すばやくオン/オフを切り替えられる。また、フレームの上部には各種のコントロールボタンが設けられており、付属のリモコンがなくても操作できる。

 本体の電源はACアダプタで供給する仕組みだ。内蔵の明るさセンターにより、部屋の照明を消すと、自動的にディスプレイを消灯してスタンバイモードに移行する機能も備えている。

前面には余計なモノを配置せず、操作ボタンは背面の上部に集め、上面にボタンの説明書きを付けた(写真=左)。背面には、下向きでACアダプタ接続用のDC入力、各種メモリカードスロットを用意(写真=中央)。付属のACアダプタは小ぶりで設置時にじゃまにならない(写真=右)

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