10月23日から販売が始まる新型iPad miniの魅力を、ひと言で表すならば「絶妙」だろう。絶妙なサイズ、絶妙なスペック、絶妙な価格、そしてそれら全て合わさることで生まれる絶妙なバランス。この上なくたくみなのだ。
A17 Proを新たに搭載した新型iPad mini。一方で、8.3型のLiquid Retinaディスプレイや、約134.8(幅)×195.4(奥行き)×6.3(厚さ)mmというボディーサイズ、Wi-Fiモデルで約293g、Wi-Fi+Cellularモデルで約297gという重量も従来モデルを引き継ぐ。ストレージの容量は128GB/256GB/512GBとなったそれだけに「標準iPad」(第10世代)や「iPad Air」、「iPad Pro」といった他の3モデルのように毎年更新されないにも関わらず、辛抱強く次のモデルの登場を待っているファンが少なくない。
それらのファンには、ここで改めて本製品の魅力を改めて伝える必要もないと思うので、まずはiPad miniを使ったことがない人や、そもそもiPadを使ったことがない人を対象にその魅力を伝えたい。
iPad miniの8.3型という画面サイズは、6.1型iPhone 16の画面サイズで2.2倍、6.9型iPhone 16 Pro Maxの1.76倍に相当する。iPhoneの画面では1ページ単位でしか見られない電子書籍が、見開きで見られる、ちょうど文庫本を開いたくらいのサイズだ。
仮に、飛行機や新幹線で映像コンテンツを楽しむとしよう。9型以上の他のiPadでは隣の人までハッキリと見える迫力の大画面で楽しめるが、iPad miniでの体験はもう少し慎ましく、国際線エコノミークラスのシートについたディスプレイくらいの印象だ。それでもiPhoneで動画を見るよりかは、はるかに快適で見やすい(なお、飛行機のディスプレイと比べると画質はiPad miniの方が圧倒的にきれいだ)。
また、Apple Pencil Proを使うとしよう。メモを取ったり、手書きした計算式を計算してくれる計算メモ(MathNotes)を利用したり、スケッチをしたりといったことも問題なくできる。
画面の大きいiPadだと、A4サイズの紙に描いている感じなので確かにもっと快適かもしれない。これがiPad miniでは、サイズ的に見開きの手帳に描いているような感覚にはなる。しかし、拡大/縮小やスクロール操作を併用することで、画面サイズよりはるかに大きな絵が描けるところはデジタル機器ならではのアドバンテージだ。
このように何かを諦めて小さくしたのではなく、何も諦めずに小さくして、どんな用途でも、そつなくこなすのがiPad miniの魅力で、プロセッサも新たにA17 Proを採用したことで、要件的にギリギリではあるが、これからのApple製品の利用で要になると言われている「Apple Intelligence」(日本語対応は2025年以降の予定)にもちゃんと対応する。
何より、画面のサイズをちょっとだけ我慢したことでiPad miniは他のiPadにはない圧倒的な携帯性と手軽さが備わっている。
バッグのポケットにスッと収まる小柄なサイズ、長時間手に持って読書をしてもそれほど肩が凝らない重量、こういったことが合わさり、使い始めてみると他のiPadよりもはるかに手に持って使っている時間が長くなりやすく、その分、製品に愛着も生まれやすい。こうして少しずつファンが拡大しているのがiPad miniなのだ。
しかも、あまり欲張らないスペックに抑えているため、価格も7万8800円(Wi-Fiモデル/128GBの場合)からとiPhoneよりも手頃で、現在、最も安価に購入できるApple Intelligence対応製品となっている。
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