中国・深センに本社を置くキーボードメーカーであるNuPhyの「Field75 HE」は、どこかスチームパンクっぽさも感じさせるユニークなデザインのキーボードだ。見た目だけでなく、磁気センサースイッチの採用やラピッドトリガーへの対応など、ゲーミングキーボードの最新トレンドをしっかりと押さえた意欲的な製品に仕上がっている。
こうした目を引く製品は“実は見た目だけ”ということも多いが、シビアな操作が求められるゲーミング用途では実用性もかなり重要だ。キーボード業界では知名度も高まっているNuPhyの製品だけに期待もある。本記事ではその実力を確かめてみよう。
NuPhyのField75 HEはいわゆる75%キーボードで、テンキーが無いモバイルノートPCに近しいキー配列となっている。
75%キーボードはゲームプレイだけでなく、普段の利用にも適したバランスのいいサイズだ。価格は税込み3万1680円と高価ではあるが、Field75 HEの1台でゲームから普段利用まで幅広く対応できる。
一昔前のゲーミングキーボードといえば、基本的な仕組みは通常のメカニカルキーボードとほぼ同じで、専用ユーティリティーソフトによる細かな設定変更や、RGB LEDによるライティング機能の搭載といったものしか差別化ポイントがなかった。
そんな中、2021年8月25日に登場した「Wooting 60HE」に搭載された磁気センサースイッチによって、ゲーミングキーボード界に転機が訪れることになった。
磁気センサースイッチは従来のメカニカルスイッチとは異なり、スイッチの可動部に磁石が搭載されており、押し込んだ際の磁界の変化から、キー入力をアナログ的に検知する仕組みを採用している。
メカニカルスイッチの場合、完全にキースイッチを押し込まなければキー入力が検知されなかったが、磁気センサースイッチの場合、キーが何mm押し込まれたら入力されたと検知するか、押された状態から何mm戻せばキー入力を解除するかを設定できるので、より高度な操作を実現できる。これをラピッドトリガー機能と呼ぶ。
特に人気ゲームタイトルの「VALORANT」や「Counter-Strike 2」のような、細かな移動操作が求められる競技性の高いタクティカルシューターゲームをプレイするユーザーにとっては、普段のゲームプレイのスキル以上のパフォーマンスが発揮できるため、ラピッドトリガー対応キーボードを購入することで「Pay to Win(課金すれば有利になる)」といわれるくらい、今では重要な機能となっている。
先ほど例に挙げたWooting 60HEは、まだまだ日本国内で手に入れにくい状況が続いている。さまざまなキーボードメーカーもこの磁気センサースイッチを採用(ラピッドトリガー対応)した製品を発売しており、Field75 HEもその内の1台だ。
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