第4回:間隙を突いたWeb型グループウェア連載 「グループウェア」は再び革新の主役に?(4/4 ページ)

» 2005年01月18日 01時26分 公開
[吉川幸比古,ITmedia]
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 これに対してクライアント/サーバ型グループウェアの雄だったNotes/Dominoは、サーバ集約/サーバ統合というアプローチによってこれまで欠点とされていた部分を補完する方向へと進化が進んでいる。すなわち、これまで各拠点へ分散配置されていたサーバをネットワーク帯域の大容量化に伴ってセンターに集約配置し、管理コストの削減を図ることができるのだ。またサーバ間のレプリケーションや連携についてはファイバーチャネルなど専用の高速接続を導入してタイムラグのない同期処理を実現することでこれまでに苦手とされていた排他処理やレプリカ作成の遅延への対策も可能である。さらにNotes/Dominoは、バージョンアップの度に処理効率を高めており、CPUやメモリの高速化というサーバアーキキテクチャーの進歩と相まって、Notes/Dominoサーバの台数自体を減らすことが可能となってきているという。

海外で苦戦するサイボウズ

 さて、海外市場に目を向けてみると興味深いのだが、Web型グループウェアは思ったほど売れていないのだ。サイボウズは2002年より米国現地法人を通じて開発した「サイボウズ Share360」という製品を海外展開しているが苦戦が続いているという。両国における情報共有に対する文化の違いが背景にあるかもしれない。

 また米国では、Web上のこういた情報共有アプリケーションとしてはZopeのようなコンテントマネジメントシステムやWikiといったWebによる協調作業支援ソフトが次々と考案されてきていることも影響があるかもしれない。サイボウズは2005年1月13日から「サイボウズ Share360 Ver. 2.5」を発売開始する。果たしてこれで起死回生となるか注目したい。

 また、Web型グループウェアベンダー自身が認めているようにWeb型グループウェアもバージョンアップのたびに高機能化してきている。これはユーザーニーズを吸い上げてきた結果ではあるが、危険な賭けでもあり、死角ともなる。既に述べてきたようにWeb型グループウェアは、多機能化し導入や運用が複雑化したクライアント/サーバ型のグループウェアを嫌ったユーザーに支持されることで成長してきた。自身の機能アップが行き過ぎるということは、同じ過ちを犯す可能性は大いにある。サイボウズでは2005年度に一時的にバージョンアップを控えるようだが、果たしてこれが吉と出るか凶と出るか注目したい。

 さて次回は、ERPベンダーから見たグループウェア市場について分析を行ってみる。これらはWeb型グループウェアとは違った形で登場してきている。特に営業マンのワークプレイスという領域では、セールスフォースドットコムのようなASP型のCRMツールベンダーの動きは面白い。

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