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» 2005年11月11日 16時37分 UPDATE

JavaOne Tokyo 2005 Report:JavaOne Tokyoで稚内北星学園、丸山氏が“SOA”を定義

Javaのキーパーソン丸山氏の講演はいつも盛況だ。10日まで開催された「JavaOne Tokyo 2005」のセッションセミナーでは、来るべきSOA全盛の世代、何に注目すべきかがレクチャーされた。

[山田和夫,ITmedia]

ネットワークの進歩はコンピュータの進歩を上回る

 半導体の集積度の増加ペースを予言したムーアの法則がこのまま進んでいくと、10数年後には電子1つが1ビットの情報を担うことになる。この限界を超えるには、1つの量子に多数の状態を多重化する必要があるが、まだ量子コンピュータも実現のめどは立っていない。

 一方で、ネットワークの高速化ペースを予言したGilderの法則は、光ファイバーの回線速度は6カ月程度で倍になることを予想している。現在のネットワークがギガビットクラスであるとすれば、5年後にはテラビット、そのまた5年後にはペタビットのネットワークが可能になるという。

 そうであれば、近い将来、情報技術の進歩はネットワークに牽引されるようになるのではないか。21世紀は「サービスとネットワークが出会う時代」であるとする。

今年のレクチャーシリーズはSOA

 10日まで東京国際フォーラムで開催された「JavaOne Tokyo 2005」の開催初日、基調講演会場を2分割して用いて開催されたセッション「丸山先生レクチャーシリーズ」とは、例年11月から4月にかけて開催される無料レクチャーだ。

 稚内北星学園大学の丸山学長によるテクノロジーセミナーで、今年で4年目となる。今年はSOAをメインテーマとし、5回の開催が予定されているうちの第1回がJavaOne Tokyo 2005のセッション枠で開催された。

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 冒頭での話は、当日のレクチャーのトップバッターを務めた丸山氏が「SOAとは何かを考える」と題した講演で、ネットワークとサービスに着目する理由を語ったものである。同氏は、SOAを巡る議論にはいくつかの切り口が見られ、その中からとくにテクノロジーからの切り口とビジネスからの切り口を紹介する。テクノロジーとしてのSOAを考えるとき、それはWebサービスをベースにイメージすると理解しやすく、ビジネスの視点からの議論についてはやや具体的に過ぎ、もう少し一般化してビジネスの各分野を切り出して捕らえることを提案する。

変化に着目すると見えてくる

 その上で、テクノロジーについてはその議論を経て起きている変化に着目し、変化にこそ重要な意味が込められていることを指摘する。それはたとえば、従来の引数を与えてメソッドを呼び出すといったRPCベースのWebサービスから、XML形式のメッセージ交換によるWebサービスへの変化があげられる。これは、サービスの利用において単なるメソッドの呼び出しではビジネスの需要に十分に応えられず、さまざまなメッセージ交換パターン(Message Exchange Patterns、MEP)に対応していく過程できわめて重要な意味を持つ。

 つまり、HTTPのリクエスト/レスポンスパラダイムに収まりきらないビジネスプロセスは少なくない。決済を得られるであろう、おそらく数日から数週間後までHTTPセッションをつないだままにするなど非現実的である。そのような場合には非同期な、またはOne-Wayのメッセージ交換パターンを用いることで、ネットワークリソースを効率的に利用できる。

 またBPELやJBIの登場により、従来の「Webサービスによる統合」から「Webサービスの統合」へとテクノロジーの進歩が視点を移していることも重要である。これらの変化は、単に2点間をつないだ個々のサーバによる個々の機能の提供から、ネットワーク全体としてさまざまなサービスを統合する形へと、ネットワークの利用法そのものが変化する兆しではないかと指摘する。

 その例として、Azul Systemsのソリューションなどを取り上げて説明した。これは10GBのEthernetによって接続されたJava専用CPU+メモリとでも言うべきアプライアンスだ。また類似性を持つ発想の製品として、Ciscoが買収したTopspinも紹介した。こちらは1チャネルにつき2.5Gbpsの高速インタフェースであるInfiniBandを用いたクラスタ製品である。

 これらはいずれも、十分に高速なネットワークがあれば、コンピュータのアーキテクチャすらも変化していくという考え方を製品化したものということができるだろう。

テクノロジーの変化が示唆するもの

 WS-*が拡張されていく変化も注目に値する。WS-Addressingは、SOAPヘッダに宛先や送信元のアドレス(この場合はエンドポイントリファレンス)を挿入する、シンプルな標準技術だ。

 しかしこれも、前述のメッセージ交換パターンをサポートするために必要だという背景があるからこそ導入されるものなのだ。つまり、非同期にレスポンスメッセージを返すとなると、再度WS-Addressingのアドレスヘッダに基づいてセッションを接続し直す必要がある。

 HTTP上でSOAPを流す場合、従来の方法、つまりHTTPには有効なアドレス情報がほとんど含まれない。少なくともWebサービスでのレベルで必要なエンドポイント情報は得られない。レクチャーで手短に説明したメッセージ交換パターンも、ビジネス上のサービスを実現するために重要な意味を持つ。それらは従来のHTTPと同等のリクエストレスポンス型のもの以外に、One-Way MEPやCallback MEPが導入され、それらを組み合わせることによりWebサービス全体の構造的な変化をもたらす。

 One-Way MEPとはリクエストレスポンスのリクエスト部だけを切り出した一方通行のメッセージングであり、Callback MEPはサーバーからメッセージを送ってもらうことを要求するものである。WS-Addressingのアドレスヘッダを「自分」以外にしておくことによって、要求したサーバーと異なるコールバックサーバーを呼び出すスタイルも可能だ。

SOA、ネットワーク時代のサービス構造

 20世紀の情報技術のけん引役となったコンピュータの進歩が限界に達し、それに代わってネットワークの進歩が継続し、従来の想像を越えた速さ現実のものになることにより、ソフトウェアのアーキテクチャを変えていくことになるだろう。

 ビジネスの観点からは、適切な粒度を持ったビジネスの構成要素(それは言葉を換えるとアスペクトのような)をサービスとして抽出し、それらをネットワーク上に展開する必要がある。それらは技術的にはメッセージの交換を行う。

 ネットワークの時代という背景のもと、不可分に切り出されたサービスがネットワーク上で再構築され、より上位のサービスの実現へと向かっていくだろう。単にネットワークで働くサービスから、「サービスをネットワーク化したもの」への変貌がスタートしているのである。

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