課題設定力と渇望感がビジネス成長を支える日本のインターネット企業 変革の旗手たち(3/3 ページ)

» 2008年01月08日 00時00分 公開
[堀見誠司,ITmedia]
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求められるのは「成長欲」そして「課題設定力」

ITmedia 企業として成長していく上で、楽天が求める人材像を教えてください。

杉原 楽天のスタッフには課題の設定力が求められます。例えば、3年後の自分を想定して、その時点の自分には何が求められているか。その3年後の自分になるために、今の自分には何が足りないのか。この不足を3年間で補うことが課題であるなら、何をやらなくてはいけないのか。そうしたことがきちんと洗い出せる力だと思います。もちろん、洗い出しただけでは駄目で、これをクリアする取り組みを自分で設定してそれをこなしていくポジティブさが必要です。

 サービス開発の本部から始めているのですが、こうした課題設定力を高めるための支援として、セッションと呼ばれる研修を定期的に開催しています。ここでは、3〜5年後の自分の希望や夢をまとめ、4人ずつのチームで発表し合い、他者を評価したり他者の評価を受けたりということを実践しています。こうしたセッションを通じて、成長欲や課題設定力が喚起されます。

 もう1つ、成長欲に関連するかもしれませんが、「渇望感」があると思います。インターネットビジネスは、空間的な奥行きが無限であるということもありますが、どんなに小さく見ようとしても渇望感で満たされてしまいます。この渇望感がないと、新しいビジネスの創出もあり得ません。企業自体にも、常にこれでよいというゴールはないと思っています。目標を達成しそうになると、さらにハードルを上げる。届かないところに目標を設定する。これもある種の課題設定力なのでしょうが、渇望感を内外の圧力を利用して喚起し、それをエネルギーに変える――そのような文化が、楽天には確かにあります。

ITmedia マネジメントの立場として今後、どのような経営を目指していこうとお考えですか。

杉原 毎週月曜日朝に行う全社情報共有会「朝会」の実施や、月末に開発部隊が実施する「締め会」などを通じて社員全員に経営状態やこれから進む方向をできるだけオープンにし、今後どのようなチャンスが発生し得るのかを知ってもらうよう心がけています。もちろん、そのチャンスに対して手を挙げれば誰もがアサインされるわけではありませんが、できるだけ多くのメンバーにチャンスが巡るようにと考えています。だからこそメンバーには、自分で成長する意欲、つまり成長欲というエネルギーを求めています。この個々人の成長欲がサービスの向上につながり、ひいては会社の収益に貢献をもたらすことになります。

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