「メールセキュリティASPサービス」国内利用第1号は高等専門学校事例 メール環境刷新(1/2 ページ)

東京工業高等専門学校はミラポイントの「メールセキュリティASPサービス」を国内ユーザーとして初めて導入。サーバ監視の負担が減少、スパム被害も大幅に軽減したという。

» 2008年04月22日 15時58分 公開
[ITmedia]

導入前の課題

専任のシステム管理者が不在で、教員のボランティアによるメールサーバの保守・管理が事実上困難に。

校内に乱立する独自サーバによって増加するサブドメインの管理が課題に。

急増したスパムに対し、ウイルス対策ソフトのスパムフィルタリング機能だけでは不十分。


導入後の効果

ASPを利用することにより管理の質が向上し、定期的なサーバ監視の物理的・心理的負担が大きく軽減。

ASP移行を機に乱立していたサブドメインの全廃を実施。管理権限を一元化できた。

強力なアンチスパム機能によりスパムが減少し、大事なメールがブロックされる不安からも開放された。


 東京工業高等専門学校(以下、東京高専)は、高度成長が始まったばかりの1965年に創立された国立高等専門学校である。首都圏の大学との交流も積極的な同校は、5年間の本科と2年間の専攻科を含めた「本科―専攻科連携教育」により、ものづくりを重視した実践的研究や実習を積極的に推奨し、国際感覚を持つ高度技術者の育成を目指している。

 近年は、大学への編入や大学院への道に進む学生も半数に上るが、基礎学力から大学工学部レベルの高度な工業技術を学び、かつ実践的な専門教育を受けていることから、即戦力のある人材の宝庫として、産業界からの採用希望が後を絶たない。

専任のシステム管理者が不在という問題

 同校は10年以上前から、UNIX系サーバにオープンソースのSendmail を用いて構築した、手作りのメールシステムを利用していたが、管理の煩雑さと脆弱なメール基盤を改善するため、2001年にミラポイントのメールアプライアンス「Mirapoint MessageServer」を導入した。

 それから5年を経て、メールサーバのリプレースを検討する段階となったが、同校では1人の教員を中心とした数名が、ボランティア的にメールサーバの保守・管理を行い、専任のシステム管理者が不在という問題を抱えていた。また、校内の電源や空調設備も充実したものとはいえず、この状態のままメールサーバを管理し続けることは困難と思われた。

 さらに、研究や実験のため独自にサーバを立てる学科も多く、そこから草の根的に立ち上がるサブドメインの増加に管理の目が行き届かないという問題もあった。

 加えて、数年前から迷惑メールが急増。他社製ウイルス対策ソフトのスパムフィルタリング機能だけでは、1日に千通も届くスパムに対してまったく無力であり、有効なIPアドレスがブラックリストに載ることによって、必要なメールが届かないという事態が日増しに増えつつあった。

アウトソーシングを決断、国内利用第1号の事例

 そこで、管理者はメール環境のアウトソーシングを決断。複数のASPを比較検討したが、従来のミラポイントの品質レベルと操作性を確保しながら、十分なスパム対策が可能なサービスなどその当時は存在せず、ASPによるメールシステムの利用は絶望的と思われた。

 しかし、その事情を知った富士通エフ・アイ・ピー(FIP)は、ミラポイントの技術をそのまま利用するASP形態でのサービスの開発をスタート。同校と技術的な検討を重ねた結果、2007年7月に「メールセキュリティASPサービス」として完成し、東京高専が国内利用第1号の事例となった。

 「メールセキュリティASPサービス」は、ミラポイントのメールサーバ「Mirapoint MessageServer」と、アンチウイルス&スパム機能の「Mirapoint RazorGate」、およびメールアーカイブの「Mirapoint Razor Safe」を利用した、セキュリティ対策およびコンプライアンス対策を施したメッセージング基盤を、国際認証規格ISO20000(ITサービスマネジメントシステム)を取得した富士通FIPのデータセンターで運用するもの。専任SEスタッフが24時間365日監視する体制で、ユーザーが自前でメール環境を運用するよりも、高度なセキュリティと品質、安全性、信頼性が確保できるとしている。

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