仮想化、SaaSよりも日常業務の効率化――SMBのIT投資意欲コスト削減のカギは地道な業務改善

中堅・中小企業のIT投資は業務改善とコスト削減が多く、営業や顧客関係を管理するシステムへの投資意欲が目立った。仮想化やSaaSなど、最新の技術を積極的に採用しようとする企業は少数だ。

» 2009年02月26日 17時19分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 中堅・中小規模の企業(SMB:Small and Medium Business)は、営業や顧客関連など現行の業務を改善するIT投資に意欲的ということが、ノークリサーチの調査結果で明らかになった。IT投資の対象として社内の定型業務を挙げる企業も多く、地道なコスト削減を進めている実態が分かった。

 SMBがIT投資を継続する理由は、「業務改善」と「コスト削減」が半数を上回った。「将来を見据えたシステム構築」や「中長期で見た保守・サポート費用」の回答も40%前後となった。不況下においても、総コストを考慮したIT投資への意識は高い。一方「ベンダーに求める実績や信頼」は10%程度と低かった。自社に必要なIT投資を選び、ベンダーとの過去のやり取りには固執しない傾向が見え始めている。

IT投資において特に重視するポイント IT投資において特に重視するポイント(出典:ノークリサーチ)

 業務改善に有効なIT投資項目を聞くと、「営業・販売管理システム」(40.1%)、「顧客関係管理システム」(37.5%)など、営業力の向上に結び付く投資を優先しているSMBが多い。「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログによるコミュニティーの形成」(8.4%)や「EC(電子商取引)サイトの開設」(5.4%)には消極的で、営業や顧客関連など現行の業務を改善するためのIT投資を行う動きが強まっている。

業務改善に有効と思われるIT投資項目 業務改善に有効と思われるIT投資項目(同)

 コスト削減に必要なIT投資は、「社内定型業務の効率改善」(50.3%)がトップ。「文書の印刷コストの削減やトナーの節約」(37.8%)など、全社員の日常業務にかかわる面でのてこ入れも目立つ。「情報システムの運用管理のアウトソーシング」(30.3%)も有効な手段として検討され始めている。シンクライアントや仮想化によるサーバ台数の削減、SaaSによる業務アプリケーションの利用などは20%を下回る結果となり、地道なコスト削減を実施しているSMBが多くを占めた。

コスト削減に有効と思われるIT投資項目 コスト削減に有効と思われるIT投資項目(同)

 年商5〜500億円の企業に、IT投資への意欲や投資項目などをインターネットによるアンケートで聞いた。調査は2月下旬に実施し、800社の回答を得た。ノークリサーチは四半期ごとに同様の調査結果を発表している。

過去のニュース一覧はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ